フジテレビと中居さんの問題が大炎上して、昨日は午後4時から午前2時まで生中継で謝罪会見が行われていました。午後10時頃にテレビを付けたら、まだ続いていてビックリしました。いくら何でも、そんなに質問する内容がありますかね?
フジメディアHDの会長、社長の辞任が発表されましたが、そもそも取締役とは何をする人達なのでしょうか?日本においては、出世コースに勝利した先に「取締役」があるイメージなので、偉くなって社員を取り締まると思われている気がしますが、そもそもの目的は全く違います。取締役は、株主の代表として「経営陣を取り締まる」ことが仕事です。ですから、取締役は株主価値を代表する人たちで、取締役会が社長など経営陣を選び、報酬体系を決定して監視する役目を担っています。日本で良くある、サラリーマンが偉くなって取締役になるというのは、そもそもおかしな話なのです。サラリーマン社員は偉くなっても経営側の人ですから。
そんな成り立ちですから、日本の取締役会は株主ではなく経営陣側にいると勘違いしているケースが多いです。フジメディアHDの取締役会は、「経営陣を取り締まる」体制になっているのでしょうか?以下の表が2006年からの取締役構成です。例えば左端の2006年3月時点では、取締役の人数は24名。新卒入社から出世した人が16名(中途入社はゼロ)、株式持ち合いしているグループ企業で出世した人が6名、純粋に社外と言えるのはキッコーマンの茂木さんと東京電力の南さん2名だけです。直近の2024年3月は、社内出世組10名、グループ企業出世組3名、社外4名の計17名。この17名で多数決をしたら、株主ではなくフジテレビの経営陣よりの判断になると思うのが普通です。今回、社内出世組から2名(会長、社長)が退任しますが、社内出世組の専務が社長に昇格するわけですから、取締役の追加がなければ、合計15名(社内8名、グループ3名、社外4名)と引き続き多数決を取れば社内の論理が優先されてしまいます。こんな適当な対策で、「企業文化を刷新」なんて出来るわけがないでしょう。また、キッコーマンの茂木さんは2003年から現在まで、東京電力の南さんは2006年から2022年までと長期にわたって取締役を務めています。社外とは言え、20年もやっていたら親しくもなるでしょう。緊張感のある関係を維持するためにも社外取締役が過半数を占め、任期は4年くらいにするのが欧米のスタンダードです。問題は大きければ大きいほど、変わるチャンスです。長く続く日本的株式会社のずぶずぶな取締役会のガバガバなガバナンスという悪習から手を切って頂きたいです。Happy Investing!!