投資リターンと投機リターン

2種類のリターン

株価=一株あたり利益(EPS) x PER と表現できます。

株価が上がるためには、次の3パターンがあります。

(1)EPSが上がる、PERが上がる
(2)EPSが下がるが、PERがもっと上がる
(3)PERが下がるが、EPSがもっと上がる

投資リターンと一口で言いますが、EPSで稼いだのか、PERで稼いだのかで、質が違うと思っています。

EPSの上昇は、企業努力によってなされるもので、私は、投資リターンだと考えます。

一方、PERの増加は、株式市場の気分次第なので、私は、投機リターンだと考えます。

EPSもPERも上がった、過去10年間

リーマンショックからの過去10年間においては、EPSもPERも拡大する(1)の時期が続きました。

投資家にとって、投資リターンも投機リターンも追い風となる、最高の時期です。

例えば、高成長企業として、モノタロウ(3064)を見てみます。

2009年12月から2018年12月までの9年間で、株価は75倍になりました。

投資リターンと投機リターンに分解すると、投資リターン18倍、投機リターン4倍となっていました。

今後10年間は?

今後も投機リターンを期待するのは合理的なのでしょうか?

モノタロウでいえば、事業規模が大きくなり、成長率を維持するハードルは年々高くなります。

次の9年間、投資リターン10倍(立派な成績ですが、)そして、投機リターン1/3倍とすれば、合計リターンは3倍です。

これまでと同じリターン目線で臨むのは、問題が大きいと思っています。

過去の好調が、投資リターンから生み出せたのか、投機リターンから生み出せたのか。

検証が必要だと思っています。

Happy Investing!!

 

世界で勝てる働き方か?

世界で勝てる働き方か?

日経新聞を見て、思わず笑ってしまいました。

世界で勝てる働き方か という見出しの下に、次の写真です。


(出典:日経新聞 3月14日朝刊3面)

この写真、40年前のものと言われても、まったく違和感ないですよね。

インターネットやスマホが行き渡った現代において、労使交渉の回答状況をボードに書き込む必要がどこにあるのでしょうか?

各社がメールで伝えて、HPにアップして終わりで十分ではないでしょうか?

これは、世界で勝てる働き方ではないな、と思いました。

小さな当たり前の改善を積み上げたい

今朝の日経新聞、日本の課題を良く表している気がしました

つまり、不要なもの、付加価値を生まなくなった作業を、なかなか止められないのではないでしょうか?

状況を一変させてくれる特効薬などなく、当たり前の小さな変化を積み重ねていけるかが大切だと感じました。

日経新聞、見出しと写真をちぐはぐにして、わざとシュールな紙面構成にしていたのであれば、最高です。

Happy Investing!!

借入+株式投資=危険

有能な人を破産に導く、3つのL

CNBCのインタビューで、Warren Buffettがレバレッジの危険性について語っています。(記事リンク

以下、インタビューからの抜粋です。

[aside type=”normal”]

“My partner Charlie says there is only three ways a smart person can go broke: liquor, ladies and leverage,” he said. “Now the truth is — the first two he just added because they started with L — it’s leverage.”

(出典:CNBC) 

[/aside]

語呂合わせのために、Liqour, Ladies, Leverage(酒、女、借入)を3つのLと呼んでいますが、Warren Buffettの経験から、実際に成功者を破綻させるのは、借入だそうです。

借入+株式投資=危険な理由

Warren Buffettは、住宅ローンなどあらゆる借入を否定しているのではなく、借入と株式投資のセットについて警鐘を鳴らしています。

例えば、信用取引のように資金を借りて株式投資をしたり、大株主である創業社長が保有株を担保に資金を借りる行為です。

なぜ、借入+株式投資=危険 なのでしょうか?

Warren Buffettが1970年より率いるBerkshire Hathawayは、超優良企業です。

下図は長期株価推移ですが、1990年に7000ドルが2019年には300,000ドルまで、30年で実に40倍以上に値上がりしています。

日本経済がバブル崩壊の対応に遅れ、失われた30年と言っている間に、株価40倍です。。。凄すぎます。。。

あまりの株価リターンに脱線してしまいましたが、このような株式であれば、担保に借入して問題ないような気がしてしまいます。


(出典:Google Finance)

問題は、短期的な株価変動

長期的には右肩上がりの株価を描いたBerkshire Hathawayですが、短期的に見ると、株価が大幅下落したことが4回ありました。


(出典:CNBC

運悪く50%下落の前に、株式を担保に借入していたとしたら、担保差し押さえが現実的なリスクとなります。

株価の短期的な値動きが誰にも分からない以上、株式を担保に借入すべきではない、という結論になります。

急がず、焦らず、着実に資産を増やしていきたいものです。

Happy Investing!!

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点から線へ、線から面へ

地理のK先生

武蔵中高には、個性的な先生たちがいましたが、地理のK先生もそんな一人です。

授業で一番記憶に残っているのは、旅行体験談です。

お酒好きのK先生、イスラム教の国、バングラデシュで苦労してお酒を探した話。

「お金を恵んで~」と現地の子供に囲まれたから、持っていた小銭を全て投げてみたという話。

その場面を想像するだけで、ワクワク楽しくなります。

面白い話を聞かせてくれたことで、広い世界への興味を養ってくれたという点で、最高の教育者だったと感じています。

点から線へ、線から面へ

そんなK先生の言葉で、印象に残っているものが、「点から線へ、線から面へ」です。

北海道の実習に、飛行機で行くか、電車で行くか、という話だったように思います。

飛行機は速いが、空港から空港という点から点の移動に過ぎず、情報量は少ない。

電車は遅いが、線路に沿って線で移動できるから、情報量が多い点で豊かである。

さらに、電車で移動しながら、目の前の事しか見ていないのは、線に過ぎない。

もし、現在見えていることから、過去や将来にまで思いを馳せることができれば、線から面になり、またまた情報量が豊かになる。

まとめ

一つの事実は点に過ぎませんが、そこから時間軸、空間軸、産業軸、を加味することで、豊かな3次元の絵が立ち上がってきます。

既知を積み重ねた先にある、未知への想像こそが投資の楽しさだと思っています。

久しぶりに武蔵中高のHPを訪問したら、2019年4月より新しい校長先生を迎えるそうです。

私の大好きな武蔵中高が、ますます良い学校になりますように。

K先生、ありがとうございました。

Happy Investing!!

Om Swamiというインド聖人に感じた、インド社会の豊かな多様性

インド修行に向かう友人

友人が、インドに修行に出かけました。

数年間、ヒマラヤで山籠もりするそうです。

Om Swamiという師と思える人物に巡り会えたそうで、嬉しそうでした。(WikipediaリンクOm Swami HPリンク

自分が進むべき方向が見つかった、という高揚感が伝わってきて、こちらまで嬉しくなりました。

私はインドの聖人と聞くと、ガリガリに痩せ、ひげを伸ばした、ヨガマスターをイメージしてしまうのですが、Om Swamiさんの経歴はかなり異質です。

インド生まれで、幼少期から神に興味を持ち、自ら瞑想に取り組んできたそうです。

2000年に大学を卒業していますから、現在40代前半という若さでしょうか。

オーストラリアに大学留学、MBA、IT業界で起業して成功・・・物欲を否定せず、一般的な聖人のイメージとはかけ離れています。

豪邸に住み、世界を飛び回り、スポーツカーを乗る生活を楽しみ、物的生活を極めたところで、全ての所有物を放棄して出家したそうです。

幼少期から心的生活を極める(=悟りを開く)ことを最終目標に、途中目標として物的生活も極めてしまう。

出家後、インドを巡って修行を続け、悟りを得るまでの自伝を、楽しく読みました。

たくさんの聖人が暮らせる、多様性あふれるインド

インドには、たくさんの聖人がいるようです。

自称聖人という方も多く、玉石混交でしょうが、多くの聖人が暮らしていけていることは事実です。

日本で、自ら出家・修行して悟りを開いたという人がいたとして、果たして生活していけるでしょうか?

新興宗教として怪しまれるのが関の山ではないでしょうか?

個人的判断で出家・修行した多くの聖人に信者がつき、生活していけるところにインドの豊かさを感じました。
 
日本で宗教家といえば、○○教の△大学に行って××寺で修行して、みたいな話になり、随分と肩書が先行する社会になってしまったなと感じました。
 
インド人は宗教的な肩書に惑わされず、目の前の個人の資質を自ら判断して信じるかどうかを決めているようで、それはそれで多様で豊かな社会だなと思いました。
 

まとめ

Om Swamiさんのように、個人で修行・会得した人は、組織色に染まっていなく、教えや言葉が分かりやすいです。

肩書に物言わせるのではなく、自分の体験から語ってくれる聖人の話を聞いてみたくなりました。
 
ヒマラヤで修行に向かう、友人を応援しています。
 
土産話が楽しみです。

Happy Investing!!

日本電産とルネサスの危機対応から、疾風に勁草を知る。

疾風に勁草を知る

3月7日の日経新聞朝刊で、ルネサスエレクトロニクス(6723)が、車載向け半導体など工場を2か月停止すると報じられました。

それに対し、ルネサスは3月7日に「一時生産停止を検討している」とコメントしています。(コメントへのリンク

日経新聞の見出しからは、あたかも決定事実であるかのような印象を受けますが、観測記事であることも多いので、注意しましょう。

このニュースを読んで、「疾風に勁草を知る」ということわざを思い出しました。

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疾風に勁草を知る

読み:しっぷうにけいそうをしる
意味:困難や試練に直面したときに、はじめてその人の意思の強さや節操の堅固さ、人間としての値打ちがわかることのたとえ。

(出典:故事ことわざ辞典

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ルネサスの対応と、日本電産の対応

中国を筆頭に、世界的な景況感が悪化していることは周知の事実です。

受注環境の悪化をいくら嘆いても仕方なく、経営陣に求められるのは対応です。

名経営者と名高い、日本電産の永守さんは、1月17日に業績の下方修正+緊急記者会見を開きました。

「18年11月、12月は経験したことのない落ち込み」と述べ、さっそく全社コスト削減プランを開始しています。

「経営の方向性を変更しようという気持ちは全くない」、「ここでしゃがんでもう一度跳ぶ心構えだ。きょう現在で設備投資計画を見直すつもりはない」と危機には出来るだけ早く対応し、逆に強いバランスシートを活かして安値での買収を狙っていく、ピンチをチャンスに変えようという、非常に前向きな経営姿勢です。

それに対して、ルネサスの経営陣はどうでしょうか?

日本電産の会見から2か月遅れていますが、まだ生産停止すら決断できていません。

対応が後手に回るのではないかと不安になります。

私が大切な資金を託すのであれば、日本電産を選ぶかルネサスを選ぶか、明らかです。

ご参考までに、両社の長期株価を比べてみます。

ルネサス株価
 

日本電産株価

危機にこそ、真価が問われる  

景気が良いときは、どんな企業でも儲かります。

むしろ、固定費が高くてコスト構造が悪い企業ほど、オペレーティングレバレッジが効いて増益幅が大きくなります。

差が出るのは、不況の時です。

これは投資家にも当てはまります。

上げ相場の時は、どんな投資家でも儲かります。

下げ相場の時こそ、投資家の真価が問われます。

Happy Investing!!

公的年金の運用想定は甘いのか?

公的年金の運用目標は、年率1.3%~5.0%

日経新聞に、「公的年金の運用見通しが甘い」という記事がありました。(記事リンク

公的年金の運用結果は広く国民生活に影響しますので、運用想定について考えてみました。

長期運用見通しは以下の通り、年率1.3%~5.0%のようです。


(出典:日経新聞 3月8日朝刊)

公的年金の基本ポートフォリオ

日本の公的年金は、年金積立金管理運用独立行政法人という長い名前ですが、通称GPIFと呼ばれています(GPIFリンク)。

Government Pension Investment Fundの頭文字を取っています。

約150兆円を運用する、世界でも大きな機関投資家です。

GPIFの基本ポートフォリオがHPに出ています(リンク)。

基本ポートフォリオから考える、期待リターン

それぞれのアセットクラスに対して、期待リターンを考えてみました。

私は、以下の前提を置きました。

国内債券=0%

外国債券=2%

国内株式=4%

外国株式=6%

以上の前提で、GPIFポートフォリオの期待リターンは、

0%x35%+2%x15%+4%x25%+6%x25%=2.8% となります。

5%の期待リターンは高い気がしますが、1.3%~5.0%というレンジにそれほど違和感は感じません。

みなさんは、どのような前提を置きますか?

将来の年金に直結しますから、考えてみたいですね。

Happy Investing!!

オリオンビール買収。外資・内資の議論に意味はあるのか?

オリオンビールを570億円買収。PER25倍

1957年創業、沖縄料理でおなじみ、オリオンビールが3月に買収されるようです。(Business Journal記事リンク、オリオンビールのWikipediaリンク

買収金額は570億円だそうです。

2018年3月期の売上は280億円、営業利益30億円、当期利益23億円と、立派な収益性です。

ビール業界は設備産業ですから、規模の経済が働きます。飲料セグメント売上が1兆円あるキリンやアサヒに対して圧倒的に不利だと思ったのですが、実はオリオンビールは酒税を20%軽減されているそうですから、直接大手と比較するのは正しくなさそうです。

570億円 / 23億 = PER 25倍。

個人投資家目線から、少数株主として成長性のない企業への投資として考えると割高に見えますが、マジョリティ株主になって販路拡大などできるのであれば、割が合うのかもしれません。

何より、アルコール飲料メーカーは安定的にキャッシュフローを創出できる確率が高い点は魅力的です。


(出典:日経新聞 https://www.nikkei.com/nkd/company/kessan/?nik_code=0010946)

買収企業の国籍に何の関係があるのか?

買収先は、カーライル・グループ49%、野村キャピタル・パートナーズ(野村HD傘下のファンド)51%出資する会社です。

当初は、カーライル・グループが単独買収する予定が、買収報道に対して、「外資に白旗」、「県民のビールをどう守るのか」などと言った声が地元から上がったそうです。

結局、日本企業である野村キャピタル・パートナーズが51%を保有することで、決着がついたということです。

カーライル=外資、野村=内資、というのは、表面的な見方だと感じました。

例えば、野村キャピタル・パートナーズの運用資金は誰が出しているのでしょうか?

仮に、カーライルが野村キャピタル・パートナーズに資金を預け、その資金を還流させて買収していないと言えるのでしょうか?

逆に、カーライルの運用資金の中には、日本の年金基金も含まれていると思いますが、それでもカーライル=外資と言えるのでしょうか?

そもそも、野村HDの株主は34%が外国法人等ですが、仮に外国法人の保有比率が51%を超えると内資ではなくなるのでしょうか?


(出典:野村ホールディングス https://www.nomuraholdings.com/jp/investor/shareholders/stock.html)

まとめ

表面的な本社所在地や、外資・内資というイメージで判断することに意味があるのか、疑問です。

よりオリオンビールを発展させ、より沖縄に雇用を作り、税収を落としてくれるのはどちらの株主なのか、という視点のみで選べばよいと思います。

そういう観点でカーライルと野村を比べれば、投資実績としては、圧倒的にカーライルに分があると思いますが、いかがでしょうか?

Happy Investing!!

レバレッジにご用心。持株の88%(時価2000億円)を担保に入れる、ZOZO前澤さん

ZOZO前澤さん、2月に3回も大量保有報告書を提出


(出典:2018年3月期 有価証券報告書)

ZOZO創業者である前澤さん、ツイッター投稿、月面旅行、スポーツカー、絵画購入などなど、何かとニュースで名前を聞きます。

そんな前澤さん、2019年2月に入ってから3回も大量保有報告書を提出しています。

大量保有報告書は、上場企業株式の5%以上を保有する方々の保有状況に変化(増加、減少、担保設定)があった場合に報告が義務付けられています。(Wikipediaリンク

大量保有報告書は、EDINETという金融庁のシステムから確認することができます。

「前澤」で検索した結果は以下の通りです。

2月22日の大量保有報告書を見てみると、

変更報告書提出事由は、重要な契約の変更 であることが分かります。

どのような契約変更だったのでしょうか?

数ページ後に、以下のとおり、契約情報が載っています。

重要な契約とは、保有株式が担保に入ってますよ、ということです。

しかし、1つの大量保有報告書を見ただけでは、前回からどう内容が変わったのかは分かりません。

過去の大量保有報告書から見る、担保設定の推移

大量保有報告書を遡り、前澤さんの担保設定の推移を確認してみました。


(出典:大量保有報告書)

ZOZOの発行済み株式数は、約3.1億株 x 株価約2274円 = 時価総額 約7000億円です。

前澤さんは、発行済株式3.1億株のうち、1.1億株を保有する筆頭株主ですが、1.1億株のうち0.98億株、88%を担保提供しています。

3月6日の終値ベースで、0.984億株 x 2274円 = 2238億円 の担保価値があることになります。

借入総額は1500億円?

前澤さんは、2月に入ってから、3回も担保に入れる株式数を増やしています。

担保としているZOZO株価の2018年後半の下落で、担保積み増しを要求されていると推察します。

担保価値で1700億円を維持しようとしているようですが、一体、いくら借入しているのでしょうか?

上場株を担保としたローンでは、担保掛目は60~70%程度のようです(三田証券日本証券金融)。

最近の株価下落以前に担保設定を増やした(=借入金額を増やした)のは、2018年4月です。

このときの担保価値が2500億円 x 掛目60% = 借入金は1500億円 と予想できます。

1株1340円割れで、担保差し押さえ?改めて、レバレッジにご用心

仮に借入金総額が1500億円で、前澤さんの資産が保有株式しかないとします。

すると、1500億 / 1.12億円 = 1株1340円を割り込むと、担保差し押さえになるかもしれません。

もちろん、他の資産もお持ちでしょうから、そう単純な話にはならないと思います。

しかし、なぜこれほど大きな借入を行ってしまったのでしょうか。

最近のサンバイオ株で退場してしまった個人投資家の方々同様、改めてレバレッジの怖さを思い知りました。

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いくら前澤さんでも、市場や株価をコントロールすることはできません。

プレッシャーのかかる状況で、経営判断が鈍らないことを祈ります。

Happy Investing!!

信越化学の金川会長が語る、株式会社の目的とは?

信越化学の金川会長

私は、信越化学の金川会長を、日本、いや世界を代表する経営者の一人と尊敬しています。

以下にプロフィールを添付しました。

金川千尋(かながわ ちひろ)
1926年3月15日生まれ
1950年3月:東京大学法学部卒業
1950年4月:極東物産(現・三井物産)入社
1962年2月:信越化学工業 入社
1975年1月:信越化学工業 取締役
1978年3月:米国シンテック社 社長
1983年8月:信越化学工業 副社長
1990年8月:信越化学工業 社長
2010年6月:信越化学工業 会長

株式会社の目的とは何か?

『危機にこそ、経営者は戦わなければならない!』という著書の69ページに、金川会長の考える、株式会社の目的が書いてありました。

以下、抜粋です。

[aside type=”normal”]

間違えてはいけないのは、社会のために大きな貢献をするのは、私企業にとってはあくまでも結果であり、目的ではないということです。「会社経営は社会のため」とか、「従業員のために」というのは、一種の偽善としか思えません。企業はあくまでも営利を目的とした組織です。株主は経営者を信頼して選んでくれたのであり、それに報いるというのは当たりまえのことです。この企業としての原則を忘れて、「従業員のため」「社会のため」などとおかしなことを言っていると、いずれ競争力を失い、企業の価値が下がることになりかねないのです。

[/aside]

さすが、実績を残してきた経営者のいう事は、シンプルです。

企業の中には、「会社はすべてのステークホルダーのためにある」と、株主を社員や顧客、サプライヤーと同列に並べることがあって、違和感を感じます。

株主の利益を最大化するという目的のために、社員や顧客、サプライヤーを満足させる必要があるということで、決して同列ではないと思います。

私は、金川会長のように、「株式会社は株主のためにある」、と明言できる経営者にこそ、大切な資金を託したいです。

Happy Investing!!