日立の経営危機に社長就任した川村さんが語る経営者の役割

日立の経営危機に社長就任した川村さんが語る経営者の役割

関連】日立製作所(6501)の長期業績レポート

11月27日の日経新聞に、日立製作所(6501)で2009年から社長を務めた川村隆さんの言葉が出ていました。

当時の日立は2009年3月に8000億円近い損失を計上したばかりで、株主資本は2.2兆円から1兆円まで半減していました。売上10兆円、連結従業員36万人という大企業の建て直しを託された川村さんの言葉を日経新聞より抜粋しました。

[aside type=”normal”]経営者の仕事は各事業の将来性を見極め、そろそろピークアウトすると分かった事業から早めに手を引くことだ。業績が悪化してからでは手遅れになる。 [/aside]

[aside type=”normal”]一度決めたら心を強く持ち、周囲がどう言おうと最後までやりきることが大切 [/aside]

川村さんは、経営者の仕事として、(1)資本配分の大切さと、(2)組織の習性に屈しないこと、を挙げています。これは、『年率21.6%の29年複利リターンを達成した8人の破天荒な経営者に共通すること』という記事で書いた7つの共通点の1番と5番と符号します。

(1)経営者の最も重要な仕事は資産配分
(2)長期的に重要なことは、全社的な成長や規模ではなく、一株あたりの価値
(3)長期的な価値を決めるのは、報告利益ではなくキャッシュフロー
(4)分権組織は起業家的エネルギーを放出し、コストと「怨念」を減らす
(5)長期的な成功には独自の考え方が不可欠で、外部からの助言は気が散るし時間の無駄
(6)最高の投資先が自社株のこともある
(7)買収においては忍耐が肝心だが、ときには大胆さも必要

ここで、ウォーレン・バフェットのコメントを追記しておきます。資本配分ができる経営者は希少なのです。私は、そんな経営者を見つけたら抱きしめて離さないようにしようと思っています。

[aside type=”normal”] 企業のトップの多くは、資本配分のスキルを持っていません。ただ、彼らの力不足は驚くことではないのです。社長になる人は、販売や製造や技術や管理など何らかの分野で優れていたり、なかには社内の駆け引きがうまかったりしたことでその地位まで上り詰めた人が多いからです。しかし、CEOになれば新しい任務として資本配分の決断を下す必要に迫られます。ところが、これは重要な仕事であるにもかかわらず、彼らの多くはまったく経験がないし、簡単に極められることでもありません。 [/aside]

日本の大企業では、合理的な指導者は経営危機にしか登場できないのか?

川村さんは社長を1年、会長を4年で退任してから、経団連の会長就任要請も固辞して財界活動とも縁を切っているそうです。投資家として長期的に高いリターンを達成するためには、資本配分を理解している合理的な経営者を見つけて長く伴走することが必要です。川村さんのような経営者には長く経営して頂きたいのですが、日本の大企業ではこうした合理的な指導者は経営危機にしか登場できないのでしょうか?

川村さん就任をめぐるニュースを読んでいると、変化を嫌う大企業の内部政治を制圧するために『高年齢、短期』という2つのキーワードが浮かんできます。経営者として成功をおさめているがために、世間や社内の評判を気にすることなく背水の陣に立つことのできる経営者が覚悟を見せることで、社内に変革への理解と諦めが広がったと想像します。

大企業の経営を評価するには10年単位の時間が必要

日立のような大企業は、巨大タンカーさがなら経営の舵を切っても進路が変わるまでに時間がかかります。そのような企業の経営を評価するには10年単位の時間が必要だと思います。川村さんは外科の立場で、悪い部位をバッサリ切り捨て企業の生命維持に努めました。日立の健康体を取り戻して、次の経営者にバトンを渡しました。2014年に就任した東原社長に期待されることは、長期的な競争力を維持拡大することです。

しかし、長期的な取り組みになればなるほど、変化を嫌う大企業の組織としての習性が働いてしまいます。結果として合理的な社員は排除され、社内政治に長けた者が昇進してきます。結局歴史は繰り返し、次の経営危機まで合理的な経営者が現れないことを心配してしまいます。

まとめ

日立の経営危機に社長就任した川村さんは(1)資本配分と(2)組織の習性に負けないという、経営者としての2つのキーポイントを理解していました。しかし、川村さんのような合理的な経営者が日本企業のトップになるためには、経営危機が必要で、かつ荒療治をするため短期の在任となってしまうことが残念です。平常時には幅を利かせてしまう組織の習性に打ち勝てる合理的な経営者に投資するためには、経営者自身がオーナーである、ソフトバンクの孫さんや、ファーストリテイリングの柳井さん、楽天の三木谷さんのような存在を探すしかないのかなと思います。

在任中の株価でみる日産ゴーン社長の経営成績は平均点

経営者の能力は、在任中の株価リターンで測ることができる

三菱自動車(7211)への出資というニュースもあり、日産(7201)ゴーン社長の名前を日経新聞でみかけることが多い気がします。先日の投稿で経営者の能力の測り方について書いたので、さっそくゴーン社長の経営成績を評価してみます。

関連投稿】年率21.6%の29年複利リターンを達成した8人の破天荒な経営者に共通すること
長期業績レポート】日産自動車(7201)

重複になりますが、『破天荒な経営者たちー8人の型破りなCEOが実現した桁外れの成功』によると、経営者の偉大さを評価するために必要な数字は三つしかありません。

(1)在任中の株価の年間リターン率(複利)
(2)同じ期間の同業者のリターン率(複利)
(3)幅広いマーケットのリターン率(複利)

もし経営者が同業他社とマーケットの両方を大きく上回るリターンを上げていれば、その人は「優れた」経営者と言えるのです。

ゴーン社長の在任期間は16.5年。現在の日系自動車7社の経営者では最も在任期間が長い

1954年生まれのゴーンさんは、2000年6月に46歳の若さで日産の社長に就任しました。それから16.5年が経ち、スズキの鈴木修さんが息子の俊宏さんに社長を譲ったため、日系自動車7社の経営者で最も在任期間が長くなりました。

下の表は、各社の経営者の変遷をまとめたものです。各社の経営者の平均在任期間が5年程度であることを考えると、ゴーンさんの在任期間は非常に長いと言えます。在任期間の長さと、ゴーン社長の経営者としての能力の高さには相関関係があるのでしょうか?在任中の株価リターンをみてみましょう。

ゴーン社長在任期間の株価リターンは年率3.8%。自動車7社の中では平均点。

ゴーン社長就任直前の2000年5月31日に日産の株を買ったとすると、(配当を除いて)2016年11月21日までに1.8倍になりました。年率3.8%です。

同期間の日系自動車7社の株価リターンは、富士重工の5.6倍から三菱自動車の0.1倍まで大きな幅があります。7社単純平均は2.1倍、富士重工と三菱自動車を除いた中央5社の平均は1.8倍です。つまり、ゴーン社長の経営成績は同業者の平均と言えそうです。経営者としては有名なゴーン社長ですが、株価リターンで評価する限り、経営手腕が特別に優れているとは言えません。

同期間のTOPIXは0.9倍ですから、日産はTOPIXを上回るリターンを達成していました。しかし、自動車業界全体がTOPIXを上回っていたわけですから、日産が特別というよりは、自動車産業にとってよい経営環境だったと評価すべきでしょう。

まとめ

世間的に名の知られた経営者はいますが、彼らの経営能力への客観的な評価を聞いたことはありません。スポーツ選手には世界○位、○連勝と数字での評価を浴びせるのですから、同じように経営者にも物差しを当てて欲しいものです。ニュースで、「日産のゴーン社長は在任16.5年になりますが、在任期間中の株価リターンは年率3.8%となかなか自動車業界平均を上回ることができないでいます」と紹介してくれると、経営者へのイメージも変わってくるのではないでしょうか。

同業他社や市場平均との株価リターン比較は、経営者の能力の客観的評価の一つとなります。世間的なイメージを引きずることなく、投資家目線で冷静に評価しましょう

Happy Investing!

長期的に高い運用実績を残している投資家の真似をしよう

長期的に高い運用実績を出している人がいたら、何を真似できるか考える

日経新聞に出ていた、5本のアクティブ型日本株投信

今朝の日経新聞19面に、過去10年のリターンが高かったアクティブ型日本株投信5本が掲載されていました。最もリターンが高かったのは大和住銀投信のJ-Stockアクティブ・オープンの年率10.04%。100円が10年後に260円に増えたことになります。TOPIX連動型投信の平均10年リターンが年率-0.6%であったことを考えると、超過リターンは年率10%以上と素晴らしい運用成績です。

【出典】日経新聞

成功には必ず要因がある。成功者の行動を観察して真似をすることで、成功を真似したい

私は、長期的に高い運用実績を出している人にまぐれはなく、必ず勝因があると考えています。大勢と同じことをしていては平凡な運用成績に終わります。高い運用実績を出している人の行動を観察して真似をすることで、彼らの成功を真似したいのです。

5つのファンドを比べて見える、2つの共通点

(1)少ない運用資産と(2)集中投資

 5つのファンドの月次運用報告書から特徴をまとめると、私には2つの共通点が見えました。

(共通点1)運用資産が小さい。JPMザ・ジャパンを除いて100億円以下。
(共通点2)自信のある銘柄に集中投資している。最も自信がある銘柄に資産の4~8%を投資する。

個人投資家の立場にあてはめる

個人投資家である自分の立場を振り返ると、(1)運用資産が小さいという項目は、残念ながらしばらくの間は満たし続けそうです。あとは、(2)自信のある投資機会に集中投資できるかどうかです。

私の過去の運用を振り返ると、魅力的な投資機会だと感じていながら少額しか投資していなかったので悔しい思いをしたことが何度もあります。その反省から、この半年はポジション取りや売買ルールの徹底をしています。その結果、今は銘柄につき最低でも資産の7%を投資することに決めています

まとめ

長期的に高い運用実績を残している人がいたら、その要因を分析することをお薦めします。そして、行動を真似できるところは取り入れて、結果も真似しちゃいましょう。

Happy Investing!

過去14年間投資すると100円が12円になったパイオニア(6773)が1990年から採用され続ける日経225にご用心

パイオニア(6773)はこれまで長期業績レポートを作った日経225銘柄の中で、ダントツに経営成績が悪い

日経平均株価にどんなイメージを持っていますか?

みなさんは日経平均株価についてどのようなイメージを持っているでしょうか?ニュースで毎日のように見聞きしているので、私は勝手に日経平均株価とは、日本を代表する企業225社を集めた日本経済の体温計のようなものかと思っていました。

長期業績レポートからは、日経平均採用銘柄すべてが日本を代表する企業だとは思えない

Nagatomo Investmentsでは、日経平均採用銘柄225社の長期業績レポートを作成中です(リンクはこちら)。今日は「電気機器」に分類される企業のレポートを作っていたのですが、パイオニア(6773)の長期業績を見たときに、この企業が日本を代表する225社であるはずがないと思ってしまいました。

パイオニア(6773)に2002年3月に100円投資したら、14年後の2016年3月に12円しか返ってこなかった・・・

1937年に初の国産ダイナミックスピーカーを開発したパイオニアは、1980年代にはオーディオブームを謳歌します。自宅に大きなコンポを持つことが憧れだった時代の話のようです。

我々の音楽の聴き方には、3つの大きな変化がありました。
①据え置き型から携帯型へ
②記憶媒体が実物(カセットやCD)からインターネットへ
③携帯電話と携帯音楽プレーヤー2台持ちから電話一体型へ

エポックメーキングな製品の発表時期を見てみましょう
1979 ソニー ウォークマン(変化①)
1984 ソニー ディスクマン(変化①)
2001 Apple iTunes、iPod(変化②)
2007 iPhone(変化③)

ソニーは②の変化に対応できずに苦しみますが、パイオニアはその前の①の変化に対応できませんでした。大きな業界変化に直面したときに、成功体験から抜け出すことは大変なのです。

パイオニアがオーディオ機器から多角化した先も、残念ながらテレビ事業など競争優位性を維持できる分野ではありませんでした。結果として、事業多角化+減損+株式発行と、株主価値を棄損する経営判断のオンパレードとなってしまいました。2002年3月と2016年3月を比べると、EPSは46円から2円へとなんと96%も減少しています。100円投資すると、配当再投資ベースで12円しか返ってきませんでした(年率-14.0%)。

日経225の決まり方

最初の225社が採用された根拠はない

日本経済新聞社は以下のようにコメントしています。たった60年前の経緯についても記録がないと堂々と認めていますが、新聞社としていかがなものかと思ってしまいます。社内の議事録とかないのでしょうか?

[aside type=”normal”] 60年以上も前(1950年)から日々算出されているため、当時の詳しい経緯は不明ですが、指標性を保つために、売買高の多い銘柄を全業種からバランスよく選んだところ、この銘柄数になったとされています。225という銘柄数に特別な意味づけはないと認識しています。【出典】よくあるご質問(日経平均株価について)
[/aside]

1991年までは能動的な銘柄入れ替えはなかった

1950年から1991年まで、銘柄の入れ替えは倒産や合併して消滅した場合以外には行われませんでした。1991年までの日経平均とは、スタート時の採用根拠が明確ですらない225銘柄を40年も単純平均し続けたものだったのです!40年もたてば、多くの業種で構造変化が起きます。ずいぶんと適当な話だなと思ってしまいました。

ちなみに1990年に三菱鉱業セメントが三菱金属と合併して三菱マテリアルになったことを受けて、パイオニアが採用されます。

現在の銘柄入れ替えには、「流動性」と「業種バランス」が加味されている

現在の日経225は、「企業消滅」に加えて「流動性」と「業種バランス」が考慮されているそうです。そして、毎年10月に入れ替えが行われます。2016年は日本曹達(4041)が外れ、楽天(4755)が採用されました。

まとめ

日常的に見聞きして、何やら権威を感じてしまう日経平均株価ですが、その採用銘柄には明確なルールはありません。明文化されたルールがないので、よほどでない限りは同じ銘柄を維持してしまうのが人情だと思います。

日経225銘柄の中には、とてつもなく時代遅れの銘柄が含まれている可能性があるので、注意してください!この事実を知ってしまった私としては、日経平均インデックスに勝つのは楽勝だなと感じてしまいました。

Happy Investing!!

 

 

年率21.6%の29年複利リターンを達成した8人の破天荒な経営者に共通すること

経営者の能力は、在任中の相対株価リターンで測ることができる

経営者の能力はどうすれば測れるでしょうか?経営者もプロスポーツ選手のように数量的な戦いをしているはずなのに、野球投手の防御率や、外科医の合併症発生率のようにパフォーマンスを測定する基準がないのが現状です。

『破天荒な経営者たちー8人の型破りなCEOが実現した桁外れの成功』によると、経営者の偉大さを評価するために必要な数字は三つしかありません。

(1)在任中の株価の年間リターン率(複利)
(2)同じ期間の同業者のリターン率(複利)
(3)幅広いマーケットのリターン率(複利)

もし経営者が同業他社とマーケットの両方を大きく上回るリターンを上げていれば、その人は「優れた」経営者と言えるのです。

年率21.6%の29年複利リターンを達成した8人の破天荒な経営者

出典:『破天荒な経営者たち』

本書に登場する8人の経営者を平均すると、年率21.6%の29年複利リターンを達成しています。1円が、29年後に290円になって返ってきたのです。彼らは、同業他社リターン(年率13.9%)や市場平均リターン(年率10.2%)を大幅に上回っています。

運用の世界では、長期間(10年以上)にわたって市場平均リターンを年率1%上回れば称賛を浴びます。例えば、私が以前勤めたキャピタル・グループの旗艦ファンドの一つ、EuroPacific Growth Fund(運用資産12兆円)は10年間でインデックスを年率1.2%上回っており、高い評価を受けています。それに比べてこの経営者たちは、同業他社リターンを年率8%上回り、さらに市場リターンを年率11%上回っているのです。まさに、規格外の結果を残しています。

出典:EuroPacific Growth Fund (American Funds)

破天荒な経営者の共通点

経営者として成功するために必要な二つのこと

(1)事業を効率的に運営すること
(2)そこで得た現金をうまく使うこと

ほとんどの経営者は(1)に力を注いでいますが、(2)についてはトップクラスのビジネススクールでさえ教えていないそうです。この状況を、ウォーレン・バフェットは以下のようにまとめています。

[aside type=”normal”] 企業のトップの多くは、資本配分のスキルを持っていません。ただ、彼らの力不足は驚くことではないのです。社長になる人は、販売や製造や技術や管理など何らかの分野で優れていたり、なかには社内の駆け引きがうまかったりしたことでその地位まで上り詰めた人が多いからです。しかし、CEOになれば新しい任務として資本配分の決断を下す必要に迫られます。ところが、これは重要な仕事であるにもかかわらず、彼らの多くはまったく経験がないし、簡単に極められることでもありません。 [/aside]

破天荒な経営者たちの共通点

(1)経営者の最も重要な仕事は資産配分
(2)長期的に重要なことは、全社的な成長や規模ではなく、一株あたりの価値
(3)長期的な価値を決めるのは、報告利益ではなくキャッシュフロー
(4)分権組織は起業家的エネルギーを放出し、コストと「怨念」を減らす
(5)長期的な成功には独自の考え方が不可欠で、外部からの助言は気が散るし時間の無駄
(6)最高の投資先が自社株のこともある
(7)買収においては忍耐が肝心だが、ときには大胆さも必要

まとめ

多くの経営者は事業を効率的に運営することに力を注いでいて、「過去最高売上」や「過去最高益」と誇らしく語る姿からも、会社規模の拡大が社会的地位や自己評価の向上につながると考えているようです。しかし、投資リターンの観点から大切なのは規模や成長ではなく、一株あたりの価値を長期的に上げてくれるかどうかです。

長期的なリターンの原動力は、強い事業 x 優れた資本配分 の両輪です。どちらが欠けていても、長期的に高いリターンは望めません。業績だけではなく、株価が安いときにタイミングよく自社株買いをしているか?企業買収に高いバリュエーションを払いすぎていないか?このような基本的な質問をすることで、経営者の資本配分能力を推察できます。長期間の業績推移を見るために、Nagatomo Investmentの長期業績レポートをご活用ください。

資本配分の優れている日本企業:第一興商(7458)

関連】第一興商(7458)長期業績レポート

最後に私が日本企業で特に資本配分が優れていると思っている第一興商(7458)を紹介します。通信カラオケDAMでトップシェアを持っており、潤沢なキャッシュフローがあります。資本配分として積極的な自社株買いを行っていますが、PERの高かった2005~2007年度は自社株買いを控えるなど規律が感じらる素晴らしい企業です。結果として、過去14年複利で年率20%以上のリターンを株主にもたらしています。

 

 

医薬品銘柄の長期リターンにみる、企業力リターンとバリュエーションのバランス

長期業績推移は企業の履歴書

関連】何年分の業績を調べればいいのか?

Nagatomo Investmentsでは、企業の長期業績推移を調べることを推奨しています。企業価値はこれから稼ぐ金額によって決まりますが、未来は過去とつながっています。

みなさんは、個人を評価するときに履歴書を読むと思います。素晴らしい経歴の方に今後も素晴らしい結果を期待するのは、私たちが暗黙のうちに、成功に慣性があることを知っているからです。

企業も同じです。素晴らしい企業が急に悪くなることも少ないですし、逆にいまいちな企業が急に良くなる確率も低いものです。長期業績推移を調べることで、景気変動の追い風や向かい風を超えた企業や経営者の力を測ることが大切だと考えます。

日経平均医薬品銘柄の長期業績レポートをまとめました

関連】長期業績レポートの提供をはじめました
関連】長期業績レポート(日経平均採用銘柄)

長期リターンが高いのは中外製薬。低いのは大日本住友製薬。

日経平均医薬品銘柄には8銘柄が採用されています。このうち、2005年9月に会社設立した第一三共(4568)を除き、7社について過去15年の長期業績レポートをまとめました。

過去14年投資して最もリターンが高かったのは、中外製薬(4519)で年率9.5%。逆に最もリターンが低かったのは、大日本住友製薬(4506)で年率1.6%でした。同時期の日経平均リターンは、値上がり3%+配当再投資2%=5%程度。みなさんの製薬企業のイメージと比べていかがでしょう?

株式の長期リターンには5つの構成要素があるが、企業がコントロールできるのは4つ。

株式の長期リターンは、次のように大きく5つの構成要素に分けられます。

企業がコントロールできるEPS成長と配当政策による企業力リターンに注目

このうち、PER倍率は市場で決まります。バブルで市場が熱狂すればするほどPER倍率は高くなります。逆に、市場が悲観的になればなるほどPER倍率は低くなります。これは企業がコントロールできるものではありません。そこで、PER変化を除外した、企業力リターンで順位付けしました。

すると、総合リターンでは5位に甘んじていた塩野義製薬(4507)がトップに出てきます。企業力リターンが高いのに、PERが82倍から26倍に切り下がってしまい、総合リターンを押し下げたことが分かります。

理想は企業力リターンの高い企業を低バリュエーションで買うこと

総合リターントップの中外製薬の勝因は、そこそこの企業力リターンに加えてPERが上昇したことです。逆に、塩野義製薬をみると、企業力リターンが高くても、高バリュエーションで買うと総合リターンが出ないことが分かります。

理想的には、企業リターンの高い企業を低バリュエーションで買いたいものです。そのためには、企業力リターンの高い企業に目をつけ、バリュエーションが安くなるまで待つことが必要です。Charlie Mungerが言うように、「売買によって稼ぐのではない。待つことによって稼ぐ」のです。

 

バリュー投資をお薦めする理由

さまざまな投資戦略で成功した投資家がいる

世の中には、さまざまな投資戦略で成功した投資家がいます。日本の個人投資家では、160万を200億以上にしたBNFこと小手川隆さんのスイングトレード、65万を25億以上にした五月こと片山晃さんの適時開示情報投資などが有名です。世界に目を向ければ、George SorosやRay Dalioのグローバル・マクロ投資、Bill Ackmanのアクティビスト投資、Howard Marksのディストレスト投資、とリストはまだまだ続きます。

どんな投資戦略でも成功できる可能性があるのかもしれませんが、大切なのは期待リターン(=リターン x 成功確率)の高い投資戦略を採用することです。たとえ高いリターン実績のある投資戦略でも、それが少数の人に限定されていては、期待リターンとしては見劣りします。

多くの投資家が長期的に高いリターンを出してきた投資戦略という点から、バリュー投資をお薦めします。

バリュー投資とは何か?

バリュー投資は、Benjamin GrahamとDavid Doddが1928年に米国コロンビア大学で教え始めた投資戦略です。バリュー投資の真髄は、投資対象の価値と、その価格の差で稼ぐという事に尽きます。言い換えれば、50円で売られている100円玉を探すのです。社会的には褒められた行動ではないのかもしれませんが、実践できれば大儲けできそうです。

そんな美味しい話は有り得ないと思うかもしれません。主流派経済学の効率市場仮説は、市場価格にはすべての情報が織り込まれているので、価格は常に正しい価値を表していると教えます。効率市場仮説の世界では、誰も日経平均やTOPIXの市場インデックスには勝てません。

一方のバリュー投資は、市場は概ね効率的で市場価格はだいたい正しいが、時として大きく間違えるという考え方です。50円で売られている100円玉がそこらじゅうに転がっていることはありませんが、よくよく探せば見つかると思っているのがバリュー投資家で、絶対に見つからないと思っているのが効率市場仮説信者。そこには天と地ほどの違いがあります。

長期間市場平均を上回るリターンを記録した投資家の多くがバリュー投資を採用している。あなたはどうする?

最も著名なバリュー投資家であり、世界最高の投資家と名高いWarren Buffetが1984年に The Super Investors of Graham-and-Doddsville という記事を書きました。「長期に渡って市場平均を上回るリターンを記録した投資家の多くがバリュー投資を採用している」と指摘しています。統計的にもバリュー投資の投資戦略としての優位性が明らかなのに、バリュー投資を認めようとしない人たちがいる事は理解に苦しむ、とWarren Buffettは首を捻っています。

Buffettの記事に登場するバリュー投資家7人は、平均年率23.5%で16年複利運用。超過リターンは年率16%!

記事に出てくるバリュー投資家7人の運用実績は以下の通りです。青いセルが、運用期間です。

出典:The Superinvestors of Graham-and-Doddsville

平均年率23.5%で16年複利運用したことになります。同時期の市場リターンが年率7.5%だったことを考えると、年に16%も超過リターンを生み出しています。

年率16%の複利効果を噛み締める

年率16%と聞くと、大した差ではないような気がするかもしれません。確かに、日常生活ではより大きな割引を目にすることがあります。セールであれば30%OFF、スーパーでは売れ残り惣菜が50%OFFは当たり前です。では、100円を16年間複利で年率23.5%と年率7.5%で運用するとどうなるでしょうか?

出典:Nagatomo Investments

元手100万のバリュー投資に週末の1日を使っても、16年間で年収800万円の価値がある

バリュー投資家が100円を2900円に増やした一方、市場平均では300円にしかなりません。元手100万から始めると、2900万円と300万円と2600万円の差が出ます。16年で2600万円の差が付く(その後、差はさらに広がっていく)のであれば、2600万 / 16年 = 160万円。バリュー投資のために週末の1日を使ったとして、160万 x 5日/1日 = 週5日勤務の年収換算で800万になります。

元手500万、年率10%(市場は6%)で20年複利運用した超過リターンは年収400万円以上

年率23.5%は著名バリュー投資家の残した数字であり、自分に当てはめるのは非現実的だと思った方もいると思います。そこで、複数のシナリオを比べてみました。投資期間を20年、市場平均リターンが6%(2016年11月現在のTOPIXの平均PERは17倍なので、逆数(=1/17)が期待リターン)と仮定します。

バリュー投資で年率10%を稼いだとするとリターンは3364万円となり、市場平均に投資した場合との差額は1760万円です。これを20年で割ると、1年あたりの超過リターンは年88万円。週1日を投資調査に使った場合の年収換算は440万円です。500万円を投資して年収換算で440万円を生み出せる仕事は、なかなかないと思います。

出典:Nagatomo Investments

 次の表は、様々な元手とバリュー投資リターンについて、超過リターンと、バリュー投資に週1日を使った場合の年収換算です。あなたは、どの升目を目指すしますか?

出典:Nagatomo Investments

まとめ

私は長期的に高い利回りで複利効果を出し、経済的に豊かな人生を送りたいです。年数ごとに差が開いていく複利効果を理解しているので、30代の今から時間を使って努力する覚悟があります。

どの投資戦略でも成功者がいるのは確かですが、成功確率の高さではバリュー投資が群を抜いていると感じます。さらには、Benjamin Graham、Warren Buffett、Charlie Munger、Mohnish Pabrai、Guy Spierなど、ノウハウ提供をためらわない素晴らしい先達に恵まれています。

インデックス投資のリターンでは満足できないという方には、バリュー投資に興味を持って欲しいです。Nagatomo Investmentsでは長期的に高い利回りで複利運用するために必要な情報提供でサポートさせて頂きます。一緒に頑張りましょう。

大勢の投資家が短期志向だからこそ、逆に長期志向を目指す

他人と同じことをして、違う結果を期待するのは無理筋

Nagatomo Investmentsは、『年率26%で30年複利運用して資産を1000倍にする』ための情報提供を行っています。伝説的なファンドマネージャーであるJohn Templetonが言ったように、大多数の人々と違うことをしなければ、高いパフォーマンスをあげることはできないのです。

大勢の行動パターンを知ろう

日本の機関投資家の多くはトレンド追っかけ型、保有期間は数か月

みさき投資株式会社の資料によると、日本の機関投資家の60%以上がトレンド追っかけ型の投資スタイルで、その結果として投資期間も数か月と短いことが分かります。

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出典:みさき投資株式会社

日本の個人投資家の平均保有期間は約1年

日本の個人投資家は機関投資家より保有期間が長いようで、約1年です。

出典:日経新聞

時間軸を思いっきり伸ばす

5年先まで将来性を見通せる会社を探す

多くの投資家は先行き1年くらいを考えているとすれば、私たちはどのくらい先まで考えるべきでしょうか?2年先?3年先?圧倒的な差別化をするためには、最低でも5年先まで将来性を見通せる数少ない会社を見つけたいものです。

長期業績レポートを活用して事業を見る目線を伸ばす

普段の生活において、5年先をイメージするのは難しいことです。5年後の自分がどうなりたいのか明確なビジョンを持ち、そこから逆算して日々を過ごしている人が少ないからです。

メニュー > 分析ツール > 長期業績レポートに15年分の企業業績を載せました。色々な会社の長期業績を眺めていると、次第に長い時間軸で考えられるようになります。長期的に株価が上がる会社と上がらない会社の違いは何だろう?短期的な株価変動を超えた、より本質的な構造要因を考えていきましょう。

まとめ

株式市場において、参加者の大多数と同じ投資行動をしながら平均リターンを上回ることはできません。市場平均リターンを上回ることを目指すのであれば、投資戦略の差別化ポイントを明確にする必要があります。

短期的な投資家が多い日本市場において、長期的視野を持つのは一つの差別化戦略になると思います。日本には、アメリカのValue Lineレポートのように長期業績をまとめた資料がないのが現状ですので、ぜひ15年業績をまとめた、Nagatomo Investmentsの長期業績レポートを活用してください。

長期業績レポートの提供をはじめました

分析ツール > 長期業績推移レポートの提供をはじめました

『何年分の業績を調べればいいのか?』という記事では、入手しやすい2005年度までの有価証券報告書を元に、過去15年分の業績推移を確認することをお薦めしました。慣れてくれば1社10分で完成できますが、みなさまの一助になればと、長期業績レポートの提供をはじめました。企業調査のお役に立てて頂ければ嬉しいです。

ホームページ上部のメニューから、分析ツール > 長期業績レポート と進んでください。日経225採用銘柄からレポートを作成していきます。追加して欲しい情報などコメントを頂けると有り難いです。よろしくお願いします。

長期業績レポートの見方(例:トヨタ自動車)

出典:Nagatomo Investments

まず決算期、経営陣、会計基準をのせました。次に、PLを中心に決算実績をまとめました。さらに、実効株式数(発行済み株式数 – 自己株式数)からEPS(一株利益)、バリュエーション(PER, POCF=営業CF倍率)、配当額をのせました。

一番下に、投資家として一番興味のある投資リターンを、配当再投資あり・なしの2パターンで計算しました。例えば2002年3月末にトヨタ自動車株を購入した場合、2016年3月末に約2倍(14年複利で年率5%少々)になったことが分かります。

投資リターンを要素分解して理解を深めましょう

右の14yr複利という項目ではリターンを要素分解しています。

リターンを要素分解すると、トヨタ自動車は年率11%でEPSを成長させたことが分かります。15兆円という売上規模からでも年率10%以上でEPS成長したという結果は、素晴らしいと思います。さすがはトヨタのオペレーション力です。しかし、PERが21xから8xまで切り下がったことから、投資リターンとしては年率5%と見劣りします。

要素分解から投資のポイントが見えてきます

今後の投資リターンを考える際には、(1)売上、(2)利益率、(3)バリュエーションの見通しがポイントになります。

(1)トヨタ自動車は世界最大の自動車会社になったが、どれくらいの売上成長が見込めるのか(全世界需要 x シェア)?

(2)過去最高の利益率にあるが、この水準を維持できるのか(電気自動車など商品ミックスの影響は)?

(3)バリュエーションは過去最低水準にあるが、本質価値に対して十分に低いか?

Value Line社の長期業績推移レポートを目指しています

アメリカではValue Line社が上場企業各社の長期業績レポートを提供しています。下が、Value Line社の参考レポートです。Johnson&Johnson社の過去16年分の業績推移や経営指標が網羅されていて、これ1枚を見れば企業の概要が分かるようになっています。

出典:Value Line

まとめ

日本では、アメリカのValue Lineレポートのように、会社の長期業績の推移を手軽にみる方法がありません。投資調査の参考にして頂ければ嬉しいです。よりよい資料にしていくためにコメント、アドバイスをお願いします。

ROAでみた富士フイルムの多角化戦略は失敗

前回の投稿では、富士フィルムによる和光純薬の買収ニュースを元に過去15年業績サマリーを振り返り、富士フィルムの資本配分が効率的ではないと指摘しました。

読者の方から、「富士フィルムは主力の写真フィルム需要がデジタルカメラに置き換わる中、大胆な業態転換により生き残った成功例なのではないか?」という質問を頂きました。こうした質問は、より深く考えるきっかけになります。ありがとうございます。

写真フィルムの市場は10年で1/10。富士フィルムの売上は横ばい

2000年度、写真フィルムの売上は全社の20%を占めていたそうです。撮った写真をプリントするための現像液や印画紙を含めると、全社売上の54%、営業利益の70%を占めました(出典:Business Journal)。その後10年間で写真フィルムの世界総需要は約1/10に激減します。

出典:富士フィルムプレゼン資料

売上高やEPSの推移をみると、2002年3月の富士ゼロックス連結子会社化による売上増加を除いては横ばいを維持しています。写真フィルム事業の衰退を考えれば、十分に健闘したと評価すべきなのでしょうか?

出典:有価証券報告書

富士フィルムの多角化に対しては、高い評価がほとんど

Googleで「富士フィルム 成功」、「富士フィルム 失敗」と検索すると、成功事例として取り上げる記事ばかりみつかります。「コダックの失敗、富士フィルムの成功」という構図で語られることがほとんどです。

以下、象徴的だった記事へのリンクです。
・東洋経済オンライン:『富士フィルムはなぜ大改革に成功したのか』 (2013年11月)
・ハーバードビジネススクール出版:『富士フィルム:第二の創業』(2007年3月)

称賛の声ばかりだと、天邪鬼な私は生理的に違和感をもちます。2000年から富士フィルムを率いる古森社長・会長はそれほど完璧な経営をしたのでしょうか?

ROAという尺度で各事業をはかると、多角化は失敗している

富士フィルムは、(1)イメージング、(2)インフォメーション、(3)ドキュメントという3事業を展開しています。各事業をROA(総資産利益率)という尺度ではかってみます。

ROAは、稼ぐためにどれだけの資金を使っているかを表しています。例えば、「事業で1億円稼いた」という人がいたとします。知りたいのは、「1億円稼ぐためにいくら使ったの?」という事です。仮にAさんは100億円で工場を建て、1億円を稼ぎました。Bさんは10億円で飲食店チェーンを作り、1億円を稼ぎました。利益は同じですが、AさんのROAは1%(=1/100)、Bさんは10%(=1/10)です。資本配分という観点からは、Bさんがはるかに効率のよい事業経営をしています。

(1)イメージング事業

出典:富士フィルムプレゼン資料

フィルムやデジカメなど写真撮影に関する事業です。売上高は2001年度の約8000億から2015年度の約3500億円まで半減以上しました。2004年度から9期連続赤字を記録しながら撤退の意思決定は遅く、2013年になってコンパクトデジカメの開発を諦めましたが、まだ高価格帯の製品開発は続けています。高価格帯はキャノンやニコンに対してユーザー数、レンズのラインナップ、保守などの観点から勝ち目がないと思うのですが、やめられないようです。それでもROA10%台を回復しているので、事業の絞り込みによる一定の成果が出ていると評価できます。

出典:有価証券報告書

(2)インフォメーション事業

出典:富士フィルムプレゼン資料

多角化の目玉である、化粧品、医療機器、医薬品に関する事業です。売上高は2001年度の約7000億円から2015年度の約9500億円まで+40%成長しましたが、使っている資産は7000億円から1兆4500億円まで倍増しています。営業利益に至っては+14%しか増えていません。つまり、「2倍以上のお金を使いながら、14%しか利益が増やせていない」状況です。これはよい資本配分とは言えませんし、必然的にROAは低下しています。

出典:有価証券報告書

(3)ドキュメント事業

出典:富士フィルムプレゼン資料

ドキュメント事業は、業務用印刷を担っています。OA機器本体だけではなく、ソリューションとして提供するMPS(マネージド・プリント・サービス)で、富士ゼロックスは国内トップシェアです。オフィスで印刷する需要は景気変動の影響を受けにくく、リーマンショック後も売上は微減しただけです。印刷技術が確立している以上、新規参入障壁も高く、先行きが見通せる非常に強い事業です。大きな成長は見込めませんが、ROAは10%近辺で安定推移しています。

出典:有価証券報告書

主力はドキュメント事業。多角化しない方が資本効率は改善する。

3事業をROAの水準や安定性から判断される競争力で並べると、ドキュメント>イメージ>インフォメーション の順になります。「富士フィルム=多角化成功」という図式は誤解を生んでいます。

経営陣として私が考える最適解は、写真フィルムの衰退は受け入れて需要に合わせて供給能力を絞り、競争力のないデジカメには参入しない。写真フィルムで培った技術を活かして多角化展開したくなる「技術優位的衝動」を抑え、競争優位性が確立できていて先行きが見通せるドキュメント事業に投資するという地味なものです。

ドキュメント事業からのキャッシュフローを多角化に使わず、海外ドキュメント事業へ投資できた可能性は十分にあったように感じて残念です。富士フィルム=多角化成功という誤った評価が経営陣を縛り、多角化以外の選択肢をとれなくなっている可能性を懸念します。

まとめ

富士フィルムの多角化経営が成功したというような、広く受け入れられている評価についても、数字の裏付けを持って理解することが大切です。セグメント別ROAの推移を比較すると、インフォメーション事業への多角化投資する経営判断が、資本配分という観点から疑問であることが分かります。