年率1%の価値

ロボアドバイザー

ロボアドバイザーという言葉を見ることが多くなりました。

ソフトウェアが、資産配分を自動的に変更してくれるサービスだそうです。

この分野、ウェルスナビ(会社リンク)やTHEO(会社リンク)と言った会社があります。

ロボアドバイザーの手数料は、ウェルスナビとTHEOとも、3000万円以下は年率1%、3000万円以上は年率0.5%だそうです。

年率1%を積み重ねると?

世界の株式市場の長期リターンは年率7%でした。

バンガードの低コストETFを利用したとして、手数料年率0.1%を引いた年率6.9%が得られます。

ロボアドバイザーに頼むと、手数料1%を引いて、年率6%になります。

100円を30年投資すると、ETFは740円に、ロボアドは574円になります。

差額166円なので、100円の投資元本より大きいです。

年率0.9%が複利で積み重なると、信じられないような差になってしまいます。

まとめ

ロボアドには、未経験者に投資の敷居を低くして広めるという大切な役割があると思います。

しかし、投資に慣れてきたのであれば、コストを気にして自分でETFを購入しても良いのではないでしょうか?

Happy Investing!!

ビットコイン価格と株価の連動性

バブルを人生初体験

仮想通貨やビットコインの名前を聞くことも、めっきり少なくなりました。

日本不動産バブル、ITバブル、アメリカ不動産バブル、どれも生きてはいましたが、実体験した感覚はありません。

2017-2018年の仮想通貨バブルは、人生で初めて体験したバブルとなりました。

まず、ビットコインの価格チャートを見てみましょう。

2017年12月に最高値を記録しました。

Google Trendsでは、特定キーワードの検索実績を調べられます。

bitcoin、という検索キーワードについて調べてみました。

ビットコインの株価上昇とともに興味が広がり、乗り遅れまいと飛び込む新しい市場参加者がさらに価格を押し上げていく様子が想像できます。

価格が対象物の本質価値から乖離し続けていく様子に、これがバブルかと合点したものです。

株価との連動性

四季報を見ていて、ビットコインと似た株価チャートが多いことに驚きました。

例えば、ハブ(3030)をはじめ、2017年末~2018年初めに株価ピークを付けています。

欧風居酒屋(パブ)の経営ですから、仮想通貨と関係ないと思うのですが、株価は連動してしまうようです。

バブルが起きると、その高揚感から、他のアセットクラスにおいても価値と価格の乖離が起こりやすくなるのでしょうか?

広くバブルには注意が必要だなと感じました。

Happy Investing!!

株価サイクルの4フェーズ

株価サイクルの4フェーズ

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上の投稿で、株価の変動を投資リターンと投機リターンに分けて考えることを紹介しました。

今回は、株価サイクルの4フェーズを考えてみたいと思います。

チャート画像

① 業績回復期

業績(EPS)は改善し始めますが、市場心理はまだ懐疑的で、PERは横ばいに推移します。

最近のサイクルで言えば、2010~2012年でしょうか。

② バリュエーション拡大期

業績の改善が続き、この景気回復は本物だ!と市場心理も改善します。

EPSとPERの双方が拡大することで、株価は大きく上昇します。

最近のサイクルでいえば、2013~2014年でしょうか。

③ 業績鈍化期

景気回復効果も一巡し、業績の伸びが鈍化してきます。

一方、市場心理は引き続き強気で、業績鈍化は一時的だと考え、高いバリュエーションを維持します。

最近のサイクルでいえば、2015~2018年でしょうか。

2013年の株価急騰から、株価横ばいという銘柄が目につきます。

市場期待ほどに業績が伸びていないことが原因だと思います。

④ バリュエーション縮小期

景気悪化による業績悪化の確度が高まり、市場心理が冷え込み、PERが低下します。

EPS低下+PER低下=株価大幅下落 となります。

現在地を確認しよう

②の時期はどんな株でもだいたい上がりますし、④の時期はどんな株でもだいたい下がります。

サイクルにおける現在地の確認は、大切だと思います。

現在は、①~④のどこでしょうか?

Happy Investing!!

運用形態と競争優位性

バフェットのファンド運用形態

世界で最も有名な投資家と言えば、おそらくウォーレン・バフェットでしょう。バフェットはバリュー投資という投資戦略で有名ですが、私はそれ以上に彼の運用形態に競争優位性があったのではないかと考えています。

バフェットは1956年(25歳)から1969年(38歳)まで、13年間に渡って投資ファンドを運用していました。個人投資家としては、運用資産が小さく、バフェットが人生最高のリターンを叩き出していた時期から学べることの方が、会社形態となったBerkshire Hathawayから学べることよりも多いと思っています。

バフェットのファンドには以下の特徴があったようです。
① アナリストがいない
② 成功報酬しか取らない
③ 投資先について話さない
④ 年に1回しか解約できない

① アナリストがいない

バフェットには、今も昔もアナリストがいません。”No part of the investment process should be outsourced(投資プロセスの一部を外注することはできない)”と語っています。「自分が理解できる事業に投資する」と言っているのに、アナリストが推奨するというだけで銘柄を購入する訳にはいきません。アナリストの持ってくるアイディアに対して来る日も来る日も「ダメ」と言い続けるのも精神的に負担がかかります。悪いなと思ってアナリストの推奨銘柄を購入してしまえば、投資スタイルが崩れます。結局、アナリストはいない方がいいという結論に落ち着いたようです。バフェットには、チャーリー・マンガ―という相棒がいます。しかし、マンガ―は自らも投資ファンドの経営に成功しており、あくまで相談相手という対等な立場のようです。

② 成功報酬しか受け取らない

大半の投資信託は、運用成果に関わらず固定手数料を取ります。大半のヘッジファンドは、固定手数料を取った上に成功報酬を取ります。しかし、バフェットのファンドは真逆で、固定手数料を取らなかったどころか、運用リターンが6%を超えた部分に対して25%の成功報酬を取りました。つまり、運用リターンが6%を下回れば、1円も受け取ることがありませんでした。「出資者が儲かってからしか、運用者はお金をもらうべきではない」という当たり前の思想が表現されています。バフェットのファンドは、アナリストもいないために、固定費が低く運営されていました。固定費が低いからこそ、安定収入を度外視した報酬体系を採用できるのでしょう。そして、他のファンドは真似することができないような報酬体系を提示することは、投資家集めにおける大きな競争優位性となったことは想像に難くありません。

③ 投資先について話さない

大半の投資信託は、月次報告書で上位10投資先を開示しています。しかし、バフェットが出資者に対して投資先を開示することはありませんでした。一つには、流動性の低い株式を買っているときに情報が漏れると、安い価格で買えなくなること。また、出資者に対して投資先を公開すると、仮に間違えていたときに、他人の目が気になってその事実を認められないという心理バイアスが働くことを避けるためです。

④ 年に1回しか解約できない

大半の投資信託は、毎日購入できるし、いつでも解約できます。便利なのですが、そのためにバックオフィスの人件費やシステム費用が発生してしまいます。アシスタントもいなかったバフェットは、年1回しか購入・解約できなくすることで、手間を省き、コストを低く維持して報酬体系面での競争優位性につなげることができました。また、運用資産規模が大きく増減することは、すなわち銘柄を売買する頻度が増えるので、取引コストも増大します。多くの投資信託にとって、毎日購入・解約できることはメリットなのでしょうか?

なかなか真似できない成功例

バフェットの成功例は、広く知れ渡っていながら、なかなか真似できることができません。多くの機関投資家は、6%を超えるリターンをコンスタントに出す自信がなかったり、何よりライセンス取得・維持コストを考えると固定費を低く抑えることが難しいでしょう。こうしてみると、バフェットの運用形態は機関投資家というより個人投資家に近いなと思います。

参考図書

   

Happy Investing!!

相場下落は投資ルールを磨くチャンス

久しぶりの株価調整

2月に入って、日経平均株価は24000円の高値から10%以上下落しています。過去6ヶ月の日経平均株価を見ると大きな調整に見えますが、過去5年のチャートを見ると久しぶりの調整であることが分かります。また、10%では小規模調整です。前回の調整は、2015年夏から2016年夏にかけて20000円から15000円まで25%下落しています。

日経平均株価(6ヶ月)
チャート画像
日経平均株価(5年)

株価調整は、投資ルールの有効性を確かめるチャンス

株価下落は経験しないのが一番ですが、長期間投資する上ではうまく付き合っていくしかありません。そこで、私は投資ルールを磨くチャンスと捉えています。

株価が下がってみると、その株式を自信を持って保有し続けられるのか、売りたくて仕方なくなるのか良く体感できます。売りたくなる株に関しては、どこか投資ルールに無理があったと考えてます。私の今回の場合であれば、(1)強気すぎる価格で購入してしまったと薄々感じていた株、(2)既に割高だなと思っていながら、もっと株価が上がるかもお保有し続けた株、が該当します。

(1)に関しては、相場上昇で自分が考える割安基準(本質価格 x 50%以下)を満たす会社が見つからない中、本質価値算出ルールを破ってしまいました。競争優位性に疑問点が残る中、足元の高成長が続くと夢見てしまいました。

(2)に関しては、新規購入したい株が見つからない中、できるだけ既存投資先の利益を伸ばそうと欲張ってしまいました。以前は、本質価格の50%以下で購入し、本質価格の90%で売却していました。80%のアップサイドが取れていますが、2017年は売却後にさらに株価が上昇する事例が相次ぎました。早すぎる売却を後悔して、本質価格で半分を売却して、残りは保有を続けようとルールを変えました。つまり、100円の価値があるものを50円で買い、100円で50%を利益確定(元本を回収できる)、残りは保有し続けて利益を伸ばそうという作戦です。今回の株価下落で分かったことは、私にはアップサイドを取り逃がす機会損失よりも、割高だと思っている株を保有し続けるストレスの方が大きいということです。

投資ルールで考える要素を減らそう

Investment is most intelligent when it is most businesslike – Benjamin Graham

投資は考えられる要素が多いので、あらかじめルールを決めておかないと続けることが難しいと思います。多くの人が勝ってきたルールに基づいて行動していけば、勝てる確率は高くなると思っています。私にとってはバリュー投資であり、売買ルールはMohnish Pabraiを参考にしています。

バリュー投資には、次の3つのルールが必要だと思っています。

(1)企業評価ルール(どのように本質価値を算出するか)
(2)購入ルール(いつ、どのように、どれだけ購入するか)
(3)売却ルール(いつ、どのように、どれだけ売却するか)

Happy Investing!!

永守氏に学ぶ買収戦略

永守氏の買収実績

日本電産の永守氏は、これまで57件の買収を行ってきて、1件も失敗(減損)がないそうです。海外大型買収をしては減損することが多い日本企業の中では稀有な存在です。日経新聞に、そんな永守氏の年賀状について書いてありました。毎年買収したい相手先企業トップ宛てに、「もし会社を売る気があるなら、声をかけてほしい」と数十通の手紙を書くそうです。結果として、ある企業を買うと決めてから実現するまでに平均5年、最長16年かけているそうです。

日本電産の会社HPには、M&A年表が開示されています(リンク)。まとめると、以下のようになります。1984年から2017年まで、33年間で57件の買収を実行しています。平均すれば、1年で1.7件というスピードです。

株式投資に当てはめると

永守氏の買収戦略から学べることは、これはという目を付けた企業を長年に渡って観察しながらラブコールを送り続けるという待ちの姿勢です。投資銀行の持込案件に飛びつく真似はせず、記事にも「『今買わないと後悔しますよ』というのが彼らのセールストークだが、後悔なんかしたことはない」そうです。

上場株式投資は、相手にラブコールをする必要がありません。市場価格を払えば、いつでも株式を売買することができます。私は、この流動性の高さがもろ刃の剣だと思っています。流動性が低ければ、簡単には売れないので、よくよく調べてから購入に踏み切るでしょう。しかし、株式投資は「100株だけ」、という感覚で気軽に手を出しかねません。価格についても、「株価が下がったら損切ればよい」という発想になりがちです。筆頭株主になって企業再生することを前提とした買収とは必死さが全く異なるのです。

一方、私が考える上場株式投資の利点は、流動性の高さ故に投資行動を間違える参加者が多いことです。企業間の買収では、プロ同士のやり取りなので、価格が大きく外れていることは滅多にないと想像します。しかし、初心者から機関投資家までが同じ土俵で勝負する上場株式投資では、感情に流された価格付けが横行します。悪いニュースは過度な投げ売りを招いたり、逆に良いニュースには過度な期待から株価が急騰することもあります。企業価値評価と、自分自身の感情コントロールが前提になりますが、相手に対して優位に立てることが多いのではないかと思っています。

どうすれば投資で勝ち続けられるのか?実際に数十年という永きに渡って勝ち続けてきた人達の投資戦略を参考にするのが一番だと思っています。

Happy Investing!!

ある銘柄にいくら投資すべきか?ケリーの公式

投資先をみつけただけでは稼げない

現在の市場価格が本質価値に比べて大幅に割安と思われる投資先を見つけることは大切です。しかし、それだけでは稼ぐことはできません。実際にその企業の株式を購入し、市場の価格変動に惑わされることなく保有し続け、購入価格より高値で売却して初めて利益が確定します(配当金をもらえる場合もあります)。

投資先と、十分な安全域を確保した購入価格が分かったとして、次に問題になるのは、一体いくら投資すべきかということです。

ケリーの公式とは何か

次のコインを投げる賭けについて考えてみましょう。

参加料は100円です。コインを投げて、金額が記載された面が表になれば参加料100円に加えて200円もらえます。しかし、金額ではない面が表になれば、参加料の100円は没収されます。両面が出る確率は50%ずつとしたとき、この賭けには資産の何%を賭けるべきでしょう?

損益 x 確率を合計した期待値が0を上回っているので、この賭けには参加すべきです。そして、1回に資産の何%を賭けることが最適かについては、ケリーの公式が答えてくれます。

ある賭けを繰り返し行った場合に資産を最大化するために賭ける資産の割合 = エッジ / オッズ

今回のコイン投げの場合、 エッジ(50)/ オッズ(200) = 1回に資産の25%を賭けることが最適。ということが分かります。

株式投資への応用

例えば、以下の場合を考えてみましょう。

時価総額100億円で取引されている企業がある。普通の事業環境下での本質価値は200億円だと考えている。景気後退などに見舞われた場合、本質価値は50億まで低下する可能性がある。厳しい不況が続いた場合は、破産する可能性もある。では、この会社に資産の何%を投資すべきでしょうか?

エッジ / オッズ = 資産の60%を投資せよとのお告げです。。。そんなに投資するの怖いと思うのが普通の反応だと思います。しかし、上記コイン投げと比べると、勝率が50%に比べて75%と高いことが分かります。自分の考える確率が間違っているだろうか?など様々な考えが頭をよぎりますが、ケリーの公式に当てはめるといくら賭けるべきかと知っておくのは有益だと思います。

実践者:チャーリー・マンガ―

ウォーレン・バフェットの相棒、チャーリー・マンガ―はケリーの公式を完全に実践しています。彼が自らのヘッジファンドを運用していたときには、投資先はなんと2社。資産の40%と50%を投資していたとか。景気後退時に市場価格が1/3に減ったこともあったようですが、鉄の精神力で保有を続け、最終的には大儲けしたそうです。

集中投資した方がよいことは分かっていても、集中投資するほど日々の価格変動が大きくなります。日々の価格変動が関係ないことを頭で理解しつつも、私などはまだまだ影響を受けてしまいます。認知的整合性に欠けていることは認識しながらも、含み益が増えれば嬉しく、含み損を抱えれば落ち込んでしまいます。ご参考までに、ウォーレン・バフェットは、一つの投資先に資産の最大40%を投資していたそうです。しかし、そのような場合は滅多になかったと語っています。

ごく少数の、非常に有利な投資機会に、大きく賭ける。。。少しでも実践できるように頑張ります。

Happy Investing!!

金融資産の3分類

金融資産を3つに分類すると理解しやすい

ここ半年ほど、月1回投資セミナーを開催してきました。複利効果やiDeCo制度を利用した積立投資など、投資の基本を説明しています。セミナーで勘違いしている方が多いと感じたので、金融資産の3分類について書いてみます。

投資目的(将来より多くの購買力を獲得する目的)で購入する金融資産にはどのようなものがあるでしょうか?色々あると思うのですが、私は下のように分類すると理解しやすいと思っています。

タイプ1:国債、銀行預金、社債

タイプ2:金、原油、美術品、現金

タイプ3:株式、不動産、農地

3分類の特徴

私は、どんな金融商品であっても、即座に3分類に当てはめることができます。さて、どのような基準で分類されているのでしょうか?

答えは、キャッシュフローです。キャッシュフローを書いてみると、各分類の特徴がよく分かると思います。

タイプ1

5年10%という社債を100円購入した場合のキャッシュフローを考えてみましょう。まず、投資した時点では100円のアウトフローです。そして、毎年10円(100円 x 10%)の利息収入があります。5年目には、利息収入と元金合わせて110円が払い戻されます。下図のようになります。

タイプ1は、購入時点で将来のキャッシュフローが契約で決まっている金融商品になります。ただし、契約で決まっているからと言って、会社が倒産すれば融資は焦げ付きますし、必ず守られる訳ではありませんのでご注意ください。

タイプ2

金に5年間投資することを考えてみましょう。100円分の金を買ったとして、1年後に何か起こるでしょうか?ポイントはキャッシュフローについて考えることです。金は相変わらずピカピカしていますが、キャッシュフローはありません。2,3,4年後にもキャッシュフローはありません。そして5年経って売却するときに返ってくる金額は、そのときの金相場次第です。大きな値上がりも期待できる一方で、損失の可能性もあります。

タイプ2は、期中にキャッシュローが発生せず、売却時の価格も決まっていない金融商品です。

タイプ3

ある企業の株式に5年間投資することを考えてみましょう。一株100円で購入したとすると、キャッシュフローはどうなるでしょうか?株式は会社の一部なので、会社全体のキャッシュフローを考えてみましょう。事業内容によってキャッシュフローの発生タイミングは違いますが、例えば飲食業や小売りであれば、毎日のようにキャッシュフローが生まれます。一方、建築業界であれば、キャッシュフローの発生回数は少なく大きくなるでしょう。図にすると次のようになります。

タイプ3は、投資期間中にキャッシュフローはあるが、その発生タイミングや大小は分からない。また、売却金額も分からないという金融商品です。

長期投資に適した金融資産はどれか?

さて、上記の3分類のうち、長期投資に適したタイプはどれでしょうか?ちょっと考えてみてください。

(考え中)

(考え中)

(考え中)

セミナーで同じ質問をすると、多くの人が「タイプ1」と答えます。私もそう思っていましたし、日本では「お年玉は預金しなさい」と言われたように、タイプ1の金融商品が奨励されてきたように思います。投資時点で全てのキャッシュフローが確定しているので、安心感があるのでしょう。

しかし、例えば現在の日本では、10年国債の金利は0.05%を下回っています。10年間0.05%のリターンを確定させることが果たして良い投資行動なのでしょうか?私にはとてもそうは思えません。つまり、キャッシュフローが確定しているということは、確かに不確実性は減少しますが、同時に「低い」キャッシュフローもロックインしてしまう危険があるのです。

逆に、タイプ3はどうでしょうか?キャッシュフローも投資期間満了時の価格も分からないことから不確実性の塊です。しかし、果たしてそうでしょうか?日本のほとんどの人は、会社員であれ自営業であれタイプ3型のキャッシュフロー特性を持つ組織に属しています。そして、日々売上を上げ、コストを抑えることで利益を出すために頑張って仕事をしています。つまり、正確なキャッシュフローは確かに分からないのですが、上げようという自助努力があるのがタイプ3の金融商品です。私は、5年後のキャッシュフローが今よりも増えているであろう会社を選び出す自信がありますし、世界経済全体を考えたとしても、世界の企業全体が稼ぎ出すキャッシュフローが5年後に増えている可能性は高いと思っています。つまり、タイプ3の未来は不確実ですが、同時にアップサイドを得ることができるのです。

長期投資に適した金融資産の順番は、

タイプ3>タイプ1>タイプ2 となります。

アメリカの事例から

次のチャートは、アメリカの金融資産に長期投資(84年間)した場合のリターンです。大型株式は年率9.9%(インフレ調整後で6.9%)に対して、10年国債のリターンは年率5.5%(インフレ調整後で2.5%)に過ぎません。年率4.4%しか違わないのであれば、不確実性の少ない国債を選ぶと考える読者も多いかもしれません。確かに、1年などの短い投資期間でみればそれは正解かもしれません。しかし、数十年に渡って複利効果を続けると、大型株式であれば1ドルが3000ドルに増えたところが、長期国債では93ドルにしかなっていないという、30倍もの差がついてしまいます。これが複利効果の威力です。

Happy Investing!!

砂漠に咲く花を求めて

砂漠に咲く花を求めて

投資で稼ぐために必要なことは、「将来の価値 > 市場価格が織り込んでいる価値」 となることです。例えば、PER240倍以上で取引されているAmazonは、最低でも今後10年間は年率20%成長が続くという前提(1.20% ^ 10yr = 約6倍なので、10年後のPERが40倍に低下する) を織り込んだ市場価値になっていると感じます。

仮にAmazonが今後10年間、年率15%成長(約4倍)を達成した場合、普通の企業にとっては夢のような好成績でも、Amazon株の価値は下落する可能性が高いと思います。年率15%という現実が、年率20%という期待値を下回ってしまったからです。

期待値の低い業界を探そう

多くの投資家は、業界の期待値と企業の期待値を同じものとして捉えがちです。確かに、ここ数年の建築業界のように多くの企業が追い風の恩恵を受けている場合もあります。また、原油価格が値上がりすれば、電力会社はどこも燃料価格の高騰で苦しみます。

しかし、稀に見通しが悪いと一般的に思われている業界に勝ち組企業が現れることがあります。業界の見通しが悪い=企業への期待値も低い ことから、大きく儲けるチャンスになることがあります。私の前職キャピタル・グループには、この投資戦略の達人がいました。

事例1:ワインの栓に使うコルク業界が苦しんだ時期があります。原因は、オーストラリア産ワインなどが、プラスチック系やスクリューキャップを使い始めてコルク需要が減少>価格下落したためです。こうした事業環境で起こるのは、淘汰による寡占化です。結局、コルク栓を作っていたトップシェアの会社は、より大きなシェアを獲得し、結果的に価格決定力も強くなるというおまけまで付いてきました。コルク業界は全部ダメだ!と見境なく売られていく環境で、冷静に個別企業を見極められるかがポイントになりそうです。

事例2:アメリカの住宅と言えば絨毯が定番でしたが、いつしかフローリングが流行しました。すると、コルクと全く同じことが起きました。絨毯の需要が減少>価格下落によって、業界再編が起きたのです。こうなると体力勝負なので、たいていはトップシェア企業がより強くなって帰ってきます。

狙うべき業界のポイント

どんな業界でも苦しんでいればよいというわけではありません。特に望ましいのは、プレーヤーが多く寡占化が道半ばであることです。トップ企業が10%シェアであれば、将来的に25%になることで、市場縮小を跳ね返すイメージは持てます。しかし、既に50%以上のシェアを獲得している企業であれば、業界縮小の影響をシェアアップで挽回する余地は残されていません。

私は、このような業界を常に探していますので、見つけたらすぐにご連絡をお待ちしています。一緒に投資アイディアについて考えましょう。

Happy Investing!!

 

株の教科書.comに、『脱・株初心者のための「バリュー投資法のススメ」』が掲載されました

バリュー投資を紹介するコラム

『脱・株初心者のための「バリュー投資法のススメ」』

 友人の紹介で、株の教科書.comにバリュー投資を紹介するコラムを執筆する機会を頂きました。ご一読頂けると嬉しいです。

内容

私はバリュー投資には次の3つのアプローチがあると考えています。

① 統計的アプローチ
② 本質価値アプローチ(資産価値)
③ 本質価値アプローチ(収益価値)

今回のコラムでは、それぞれのアプローチを具体例を使って説明することに重点を置きました。

統計的アプローチであれば、実際にどのサイトで低PER/低PBR銘柄のスクリーニングができるのかを書きました。本質価値アプローチであれば、具体的に決算書類から資産価値や収益価値に基づく企業価値を算出する方法を紹介しています。

バリュー投資の全体像の把握にご活用ください。

『脱・株初心者のための「バリュー投資法のススメ」』

Happy Investing!!