割安かつ良い企業は、100に1つ?

日本ベル投資研究所

日本ベル投資研究所(リンク)という会社を紹介します。

鈴木行生さんが2010年に創業しまして、企業調査・IR支援などを業務にしているようです。

鈴木さんは、1975年から野村證券でアナリスト経験が長く、野村HDの取締役など歴任されました(プロフィール)。

市場経験豊富な鈴木さん、意見を発信するプラットフォームとして、起業したのかなと想像します。

質の高い調査レポート

日本ベル投資研究所のサイトでは、鈴木さんが書かれた企業調査レポートを拝読することができます。

個人投資家が、質の高い調査レポートを読む機会は限られていますので、とても参考になります。

是非ご一読をお薦めします。

100に1つ

最近発行されたレポートを読んでいて、気になる箇所がありました。

投資環境レポート 「アナリストからみた経営デザインとその評価~企業価値をいかに見抜くか」 2019年3月15日

(出典:日本ベル投資研究所 『アナリストから見た経営デザインとその評価』)

良い会社は全体の10%しかなく、割安な会社も全体の10%しかない。

良い会社で、かつ割安なものは、10% x 10% = 1% しかないのかもしれません。 

個人的なイメージですが、日本の上場企業は全部で4000社。

そのうち、事業内容を理解できて、将来を想像できそうな会社が1000社。

1000 x 1% = 10社 が投資対象になるかどうか。

鈴木さんを見習い、地道にリサーチしていきたいです。

鈴木さん、貴重な情報発信、ありがとうございます。

Happy Investing!!

従業員1人あたり時価総額100億円!初めて見た、PER1000倍銘柄

四季報通読

3月15日(金)に四季報が発売されました。

早速、通読に取り組んでいます。

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PER1000倍を超す、Kudan(4425)

AIやクラウドサービスなど、人気テーマ企業は、100倍を超すPERで取引されていることが散見されます。

PERが100倍ということは、現在の1年間の利益の100倍の価格で取引されている、ということです。

一般的な会社は、PER 10~20倍 で取引されていますから、PER100倍の会社は、利益が5~10倍に伸びることが株価に織り込まれていると考えます。

パラパラと四季報をめくっていて、目を疑いました。

2019年3月期利益に対してPER1397倍、2020年3月期利益に対してPER1274倍!!!!

Kudan(4425)という会社で、人工知覚の研究開発をしているそうです。

(出典:ヤフーファイナンス)

PER1200倍という株価には、利益が50倍になることが織り込まれていると思います。

驚くべきことに、Kudanの従業員数は14人だけ。従業員一人あたりの時価総額は100億円です。

時価総額100億円と言えば、立派な上場企業です。

ここまで従業員あたりの時価総額が高いと、従業員の方が風を引かないか、怪我をしないか、色々と心配してしまいそうです。

所感

利益が出ている会社で、PER1000倍以上という事例を、初めて見た気がします。

(特殊要因で利益が極端に低く押さえられていて、例えば100万円の利益に対して時価総額100億なので、PER10000倍という例はあります。)

あまりに高いバリュエーションには、人工知能分野のバブルの匂いがします。

Kudan社の今後の経営実績が楽しみです。

Happy Investing!!

追い風参考記録

拡大する銀行カードローン残高

日経新聞に、銀行カードローン残高の推移が出ていました。

下記の通り、2013年の3.5兆円から2018年には6兆円まで急拡大したようです。


(出典:3月18日 日経新聞 朝刊)

追い風参考記録

3.5兆円が6兆円に増えたということは、2.5兆円の増加です。

日本のGDP約500兆円に対して、2.5 / 500 = 0.5%の押し上げ効果があったと考えられます。

しかし、カードローンなどの債務はいずれ返済しなくてはなりません。

その際には、逆にGDP0.5%の押し下げ効果となります。

追い風が、向かい風に変わることもあります。

仮に銀行カードローンに依存している商品があれば、現在の需要が将来も続いていくと考えることは合理的ではないと思います。

銀行カードローンで購入するようなもの、比較的高額商品になるのでしょうか?

EPS補正

株価 = EPS(一株あたり利益)x PER と表現されます。

過去のEPSは、どのような追い風、向かい風を受けた数字なのでしょうか?

追い風、向かい風に対して正しく補正を行うことで、企業の真の稼ぐ力を理解したいものです。

Happy Investing!!

 

株価サイクルの4フェーズ

株価サイクルの4フェーズ

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上の投稿で、株価の変動を投資リターンと投機リターンに分けて考えることを紹介しました。

今回は、株価サイクルの4フェーズを考えてみたいと思います。

チャート画像

① 業績回復期

業績(EPS)は改善し始めますが、市場心理はまだ懐疑的で、PERは横ばいに推移します。

最近のサイクルで言えば、2010~2012年でしょうか。

② バリュエーション拡大期

業績の改善が続き、この景気回復は本物だ!と市場心理も改善します。

EPSとPERの双方が拡大することで、株価は大きく上昇します。

最近のサイクルでいえば、2013~2014年でしょうか。

③ 業績鈍化期

景気回復効果も一巡し、業績の伸びが鈍化してきます。

一方、市場心理は引き続き強気で、業績鈍化は一時的だと考え、高いバリュエーションを維持します。

最近のサイクルでいえば、2015~2018年でしょうか。

2013年の株価急騰から、株価横ばいという銘柄が目につきます。

市場期待ほどに業績が伸びていないことが原因だと思います。

④ バリュエーション縮小期

景気悪化による業績悪化の確度が高まり、市場心理が冷え込み、PERが低下します。

EPS低下+PER低下=株価大幅下落 となります。

現在地を確認しよう

②の時期はどんな株でもだいたい上がりますし、④の時期はどんな株でもだいたい下がります。

サイクルにおける現在地の確認は、大切だと思います。

現在は、①~④のどこでしょうか?

Happy Investing!!

10年に1度

Oak TreeのHoward Marks

尊敬するバリュー投資家に、Oak TreeのHoward Marksがいます。

30年以上執筆を続けるMemoの著者として、有名です。

Warren Buffettの株主への手紙と並び、バリュー投資家にとっての必読書であると思っています。

ITバブルの崩壊、リーマンショック後の投資チャンスなどなど、数々のタイムリーなMemoを発行してきました。

10年に1度

上記動画の中で、Howard Marksが50年に及ぶ投資キャリアを振り返っています。

「俺が下した、大きな投資判断は、全て正しかった」と息子に語ったところ、息子に「それはお父さんが、50年で5回くらいしか大きな投資判断をしなかったからだろ」と言われたそうです。

10年に1度は、誰の目にも明らかな投資チャンスが訪れるということです。

そうした大きなチャンスにのみ投資するだけで、かなりのリターンが達成できます。

問題は、残りの9年11カ月を待ち続けることが非常に難しいことです。

機関投資家として運用しているのであれば、顧客に「10年に1回しか投資しません」と明言して資金を集められることはないでしょう。

バリュー投資家として成功する条件

常に準備しながら、いつやってくるか分からない絶好の投資機会を待って、待って、待ち続ける、忍耐力。

そして一旦絶好の投資機会がやってきたならば、全力で振り切る、勇気。

この相反する性質を1人の中に同居させることが、バリュー投資家として成功する条件だと考えます。

Howard Marksさん、数々の名言、ありがとうございます。

多くのことを学ばせて頂いています。

Happy Investing!!

投資リターンと投機リターン

2種類のリターン

株価=一株あたり利益(EPS) x PER と表現できます。

株価が上がるためには、次の3パターンがあります。

(1)EPSが上がる、PERが上がる
(2)EPSが下がるが、PERがもっと上がる
(3)PERが下がるが、EPSがもっと上がる

投資リターンと一口で言いますが、EPSで稼いだのか、PERで稼いだのかで、質が違うと思っています。

EPSの上昇は、企業努力によってなされるもので、私は、投資リターンだと考えます。

一方、PERの増加は、株式市場の気分次第なので、私は、投機リターンだと考えます。

EPSもPERも上がった、過去10年間

リーマンショックからの過去10年間においては、EPSもPERも拡大する(1)の時期が続きました。

投資家にとって、投資リターンも投機リターンも追い風となる、最高の時期です。

例えば、高成長企業として、モノタロウ(3064)を見てみます。

2009年12月から2018年12月までの9年間で、株価は75倍になりました。

投資リターンと投機リターンに分解すると、投資リターン18倍、投機リターン4倍となっていました。

今後10年間は?

今後も投機リターンを期待するのは合理的なのでしょうか?

モノタロウでいえば、事業規模が大きくなり、成長率を維持するハードルは年々高くなります。

次の9年間、投資リターン10倍(立派な成績ですが、)そして、投機リターン1/3倍とすれば、合計リターンは3倍です。

これまでと同じリターン目線で臨むのは、問題が大きいと思っています。

過去の好調が、投資リターンから生み出せたのか、投機リターンから生み出せたのか。

検証が必要だと思っています。

Happy Investing!!

 

世界で勝てる働き方か?

世界で勝てる働き方か?

日経新聞を見て、思わず笑ってしまいました。

世界で勝てる働き方か という見出しの下に、次の写真です。


(出典:日経新聞 3月14日朝刊3面)

この写真、40年前のものと言われても、まったく違和感ないですよね。

インターネットやスマホが行き渡った現代において、労使交渉の回答状況をボードに書き込む必要がどこにあるのでしょうか?

各社がメールで伝えて、HPにアップして終わりで十分ではないでしょうか?

これは、世界で勝てる働き方ではないな、と思いました。

小さな当たり前の改善を積み上げたい

今朝の日経新聞、日本の課題を良く表している気がしました

つまり、不要なもの、付加価値を生まなくなった作業を、なかなか止められないのではないでしょうか?

状況を一変させてくれる特効薬などなく、当たり前の小さな変化を積み重ねていけるかが大切だと感じました。

日経新聞、見出しと写真をちぐはぐにして、わざとシュールな紙面構成にしていたのであれば、最高です。

Happy Investing!!

借入+株式投資=危険

有能な人を破産に導く、3つのL

CNBCのインタビューで、Warren Buffettがレバレッジの危険性について語っています。(記事リンク

以下、インタビューからの抜粋です。

[aside type=”normal”]

“My partner Charlie says there is only three ways a smart person can go broke: liquor, ladies and leverage,” he said. “Now the truth is — the first two he just added because they started with L — it’s leverage.”

(出典:CNBC) 

[/aside]

語呂合わせのために、Liqour, Ladies, Leverage(酒、女、借入)を3つのLと呼んでいますが、Warren Buffettの経験から、実際に成功者を破綻させるのは、借入だそうです。

借入+株式投資=危険な理由

Warren Buffettは、住宅ローンなどあらゆる借入を否定しているのではなく、借入と株式投資のセットについて警鐘を鳴らしています。

例えば、信用取引のように資金を借りて株式投資をしたり、大株主である創業社長が保有株を担保に資金を借りる行為です。

なぜ、借入+株式投資=危険 なのでしょうか?

Warren Buffettが1970年より率いるBerkshire Hathawayは、超優良企業です。

下図は長期株価推移ですが、1990年に7000ドルが2019年には300,000ドルまで、30年で実に40倍以上に値上がりしています。

日本経済がバブル崩壊の対応に遅れ、失われた30年と言っている間に、株価40倍です。。。凄すぎます。。。

あまりの株価リターンに脱線してしまいましたが、このような株式であれば、担保に借入して問題ないような気がしてしまいます。


(出典:Google Finance)

問題は、短期的な株価変動

長期的には右肩上がりの株価を描いたBerkshire Hathawayですが、短期的に見ると、株価が大幅下落したことが4回ありました。


(出典:CNBC

運悪く50%下落の前に、株式を担保に借入していたとしたら、担保差し押さえが現実的なリスクとなります。

株価の短期的な値動きが誰にも分からない以上、株式を担保に借入すべきではない、という結論になります。

急がず、焦らず、着実に資産を増やしていきたいものです。

Happy Investing!!

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点から線へ、線から面へ

地理のK先生

武蔵中高には、個性的な先生たちがいましたが、地理のK先生もそんな一人です。

授業で一番記憶に残っているのは、旅行体験談です。

お酒好きのK先生、イスラム教の国、バングラデシュで苦労してお酒を探した話。

「お金を恵んで~」と現地の子供に囲まれたから、持っていた小銭を全て投げてみたという話。

その場面を想像するだけで、ワクワク楽しくなります。

面白い話を聞かせてくれたことで、広い世界への興味を養ってくれたという点で、最高の教育者だったと感じています。

点から線へ、線から面へ

そんなK先生の言葉で、印象に残っているものが、「点から線へ、線から面へ」です。

北海道の実習に、飛行機で行くか、電車で行くか、という話だったように思います。

飛行機は速いが、空港から空港という点から点の移動に過ぎず、情報量は少ない。

電車は遅いが、線路に沿って線で移動できるから、情報量が多い点で豊かである。

さらに、電車で移動しながら、目の前の事しか見ていないのは、線に過ぎない。

もし、現在見えていることから、過去や将来にまで思いを馳せることができれば、線から面になり、またまた情報量が豊かになる。

まとめ

一つの事実は点に過ぎませんが、そこから時間軸、空間軸、産業軸、を加味することで、豊かな3次元の絵が立ち上がってきます。

既知を積み重ねた先にある、未知への想像こそが投資の楽しさだと思っています。

久しぶりに武蔵中高のHPを訪問したら、2019年4月より新しい校長先生を迎えるそうです。

私の大好きな武蔵中高が、ますます良い学校になりますように。

K先生、ありがとうございました。

Happy Investing!!

Om Swamiというインド聖人に感じた、インド社会の豊かな多様性

インド修行に向かう友人

友人が、インドに修行に出かけました。

数年間、ヒマラヤで山籠もりするそうです。

Om Swamiという師と思える人物に巡り会えたそうで、嬉しそうでした。(WikipediaリンクOm Swami HPリンク

自分が進むべき方向が見つかった、という高揚感が伝わってきて、こちらまで嬉しくなりました。

私はインドの聖人と聞くと、ガリガリに痩せ、ひげを伸ばした、ヨガマスターをイメージしてしまうのですが、Om Swamiさんの経歴はかなり異質です。

インド生まれで、幼少期から神に興味を持ち、自ら瞑想に取り組んできたそうです。

2000年に大学を卒業していますから、現在40代前半という若さでしょうか。

オーストラリアに大学留学、MBA、IT業界で起業して成功・・・物欲を否定せず、一般的な聖人のイメージとはかけ離れています。

豪邸に住み、世界を飛び回り、スポーツカーを乗る生活を楽しみ、物的生活を極めたところで、全ての所有物を放棄して出家したそうです。

幼少期から心的生活を極める(=悟りを開く)ことを最終目標に、途中目標として物的生活も極めてしまう。

出家後、インドを巡って修行を続け、悟りを得るまでの自伝を、楽しく読みました。

たくさんの聖人が暮らせる、多様性あふれるインド

インドには、たくさんの聖人がいるようです。

自称聖人という方も多く、玉石混交でしょうが、多くの聖人が暮らしていけていることは事実です。

日本で、自ら出家・修行して悟りを開いたという人がいたとして、果たして生活していけるでしょうか?

新興宗教として怪しまれるのが関の山ではないでしょうか?

個人的判断で出家・修行した多くの聖人に信者がつき、生活していけるところにインドの豊かさを感じました。
 
日本で宗教家といえば、○○教の△大学に行って××寺で修行して、みたいな話になり、随分と肩書が先行する社会になってしまったなと感じました。
 
インド人は宗教的な肩書に惑わされず、目の前の個人の資質を自ら判断して信じるかどうかを決めているようで、それはそれで多様で豊かな社会だなと思いました。
 

まとめ

Om Swamiさんのように、個人で修行・会得した人は、組織色に染まっていなく、教えや言葉が分かりやすいです。

肩書に物言わせるのではなく、自分の体験から語ってくれる聖人の話を聞いてみたくなりました。
 
ヒマラヤで修行に向かう、友人を応援しています。
 
土産話が楽しみです。

Happy Investing!!