株価下落率トップに頻出するドミー(9924)
ヤフーファイナンスの株価上昇・下落ランキングを見ていると、ドミー(9924)という会社が数日連続で下落率トップに出ていることに気付きました。株価は何年も2500円で横ばいに推移した後、今日(3月2日)には600円台にまで下落しています。一過性の理由による株価下落はバリュー投資のチャンスになることもあるので、調べてみました。
愛知のスーパー上場廃止の陰に東芝?
ドミーは、1913年に呉服屋として創業、スーパーに業態転換して、現在は愛知県に37店を展開しています。スーパーと言えば地味で安定的な事業に思えるのですが、名古屋証券取引所へ有価証券報告書の提出が遅れ、上場廃止が決まってしまいました。監査法人(新日本)からの適正意見(報告書が会計上適切であるというお墨付き)がもらえなかったという事が理由のようです。
スーパーは仕入れ先から、販売金額などの目標達成に応じたリベートを受け取っているそうです。ドミーでは、そのリベートの配分を作為的に変更して、業績が悪い店舗の業績をよく見せるという粉飾を行っていました。全社での利益合計が同じならいいじゃないかと思うかもしれませんが、資産価値を評価する減損テストに影響があるのです。例えば、3000万円かけて店舗を作ったとします。通常は10年の減価償却期間であれば、年間300万円の減価償却を費用として計上します。しかし、仮にその店舗が赤字続きであった場合は、資産価値がないと判断されて、3000万円を例えば一気に1000万円まで2000万円減損することを監査法人に求められることがあります。
この背景には、東芝の不祥事があると思います。新日本監査法人は東芝の粉飾決算を見抜けなかったとして、金融庁に21億円の課徴金を支払いました。二度と起こらないように、厳しい姿勢で監査業務に臨んでいることが想像されます。
ドミーに見る危険信号の数々
このような企業に投資して地雷を踏まないために、何が学べるのでしょうか?
1、売上成長率が低い:売上成長率は年率1%を切っている。
2、営業利益率が低い:営業利益利が1%しかありません。ちなみに、優良スーパーの営業利益率は4%以上(ハローズ、ヤオコー)。
1,2とも当たり前に感じます。むしろ、これまで株価が下落していないことが不思議なくらいです。会社は当期純利益を超えても1株10円の配当を維持して来ました。1株500円(合併前)に対して2%の利回りが出ていればよいという感覚で保有されていた株主が多かったのでしょうか。
まとめ
粉飾は問題ですが、上場廃止にするほどのことなのかなと思いました。東芝への東京証券取引所の柔軟な対応と、ハードな名古屋証券取引所の対応に随分差があるなと感じました。また、ドミーの株価は、売上成長率と利益率の低さを考えると、非常に割高だったことも事実だと思います。苦しい状況に置かれた企業や従業員ほど、粉飾に手を出したくなります。既存事業の伸びしろがある企業、競争優位性のある企業に投資しましょう!
Happy Investing!!