長期業績レポート
5301 東海カーボン
メモ
東海カーボンの2大事業は、
(1)カーボンブラック:主にタイヤの添加剤として使用
(2)黒鉛電極:電炉での粗鋼生産に使用
カーボンブラック事業は中国次第
カーボンブラックの国内消費量は1990年から年80万トンで頭打ちになっています。国内生産が約3/4、輸入量が約1/4です。
東海カーボンの有価証券報告書を読むと、コモディティー製品を扱うグローバルな事業が、中国の過剰生産にさらされるとどうなるかをよく理解することができます。以下、2015年12月期有価証券報告書からの抜粋です。
中国で過剰生産 → 輸出 → 日本市場の需給バランスが崩れる → 東海カーボンは価格決定力を失う → 減益
ウィキペディアによると、2012年時点で中国が世界のカーボンブラック生産量の約40%を占めていました。現在はさらにシェアが高まっているでしょう。東海カーボンが日本トップシェアと言ったところで、そもそも日本の世界シェアが5%しかありません。このようなグローバル事業において国内シェアを語る意味はなく、要は中国での需給次第で国際価格が決まっていきます。
では、私に中国の国内需給が見通せるのか?自信はありません。中国が不況に陥り、設備廃棄のニュースが世間を賑わすようなことがあれば、買い時なのかもしれません。
地理的な参入障壁のあるローカル事業を探そう
ここ数日の長期業績レポートでは、ガラス業界、セメント業界、カーボンブラック業界を取り上げました。グローバルに製品が動くガラス業界とカーボンブラック業界は、中国の過剰生産を受けて価格決定力を失い、厳しい経営環境です。一方のセメント業界は、輸入量がほぼゼロという対照的な業界です。輸入量ゼロという状況が今後も継続するための条件については理解する必要がありますが、経営者にとってどちらが経営しやすい事業かは一目瞭然ですし、そういう当たり前な気づきに応じて投資していけばいいのではないでしょうか。
Happy Investing!!