パイオニア(6773)はこれまで長期業績レポートを作った日経225銘柄の中で、ダントツに経営成績が悪い
日経平均株価にどんなイメージを持っていますか?
みなさんは日経平均株価についてどのようなイメージを持っているでしょうか?ニュースで毎日のように見聞きしているので、私は勝手に日経平均株価とは、日本を代表する企業225社を集めた日本経済の体温計のようなものかと思っていました。
長期業績レポートからは、日経平均採用銘柄すべてが日本を代表する企業だとは思えない
Nagatomo Investmentsでは、日経平均採用銘柄225社の長期業績レポートを作成中です(リンクはこちら)。今日は「電気機器」に分類される企業のレポートを作っていたのですが、パイオニア(6773)の長期業績を見たときに、この企業が日本を代表する225社であるはずがないと思ってしまいました。
パイオニア(6773)に2002年3月に100円投資したら、14年後の2016年3月に12円しか返ってこなかった・・・
1937年に初の国産ダイナミックスピーカーを開発したパイオニアは、1980年代にはオーディオブームを謳歌します。自宅に大きなコンポを持つことが憧れだった時代の話のようです。
我々の音楽の聴き方には、3つの大きな変化がありました。
①据え置き型から携帯型へ
②記憶媒体が実物(カセットやCD)からインターネットへ
③携帯電話と携帯音楽プレーヤー2台持ちから電話一体型へ
エポックメーキングな製品の発表時期を見てみましょう
1979 ソニー ウォークマン(変化①)
1984 ソニー ディスクマン(変化①)
2001 Apple iTunes、iPod(変化②)
2007 iPhone(変化③)
ソニーは②の変化に対応できずに苦しみますが、パイオニアはその前の①の変化に対応できませんでした。大きな業界変化に直面したときに、成功体験から抜け出すことは大変なのです。
パイオニアがオーディオ機器から多角化した先も、残念ながらテレビ事業など競争優位性を維持できる分野ではありませんでした。結果として、事業多角化+減損+株式発行と、株主価値を棄損する経営判断のオンパレードとなってしまいました。2002年3月と2016年3月を比べると、EPSは46円から2円へとなんと96%も減少しています。100円投資すると、配当再投資ベースで12円しか返ってきませんでした(年率-14.0%)。
日経225の決まり方
最初の225社が採用された根拠はない
日本経済新聞社は以下のようにコメントしています。たった60年前の経緯についても記録がないと堂々と認めていますが、新聞社としていかがなものかと思ってしまいます。社内の議事録とかないのでしょうか?
1991年までは能動的な銘柄入れ替えはなかった
1950年から1991年まで、銘柄の入れ替えは倒産や合併して消滅した場合以外には行われませんでした。1991年までの日経平均とは、スタート時の採用根拠が明確ですらない225銘柄を40年も単純平均し続けたものだったのです!40年もたてば、多くの業種で構造変化が起きます。ずいぶんと適当な話だなと思ってしまいました。
ちなみに1990年に三菱鉱業セメントが三菱金属と合併して三菱マテリアルになったことを受けて、パイオニアが採用されます。
現在の銘柄入れ替えには、「流動性」と「業種バランス」が加味されている
現在の日経225は、「企業消滅」に加えて「流動性」と「業種バランス」が考慮されているそうです。そして、毎年10月に入れ替えが行われます。2016年は日本曹達(4041)が外れ、楽天(4755)が採用されました。
まとめ
日常的に見聞きして、何やら権威を感じてしまう日経平均株価ですが、その採用銘柄には明確なルールはありません。明文化されたルールがないので、よほどでない限りは同じ銘柄を維持してしまうのが人情だと思います。
日経225銘柄の中には、とてつもなく時代遅れの銘柄が含まれている可能性があるので、注意してください!この事実を知ってしまった私としては、日経平均インデックスに勝つのは楽勝だなと感じてしまいました。
Happy Investing!!
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